C Sonnar T*1.5/50 ZM

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2013年9月23日 16:28 [631382-1]
満足度 | 5 |
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操作性 | 5 |
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表現力 | 5 |
携帯性 | 5 |
機能性 | 5 |
解放近辺の描写。フレアをまとった優しげな表情。 |
どことなく儚げな。。。 |
f5.6 キレがあり、立体感があります。 |
f8 これぐらいでようやく周辺も落ち着きます。 |
X Pro1にヘリコイド付きアダプター。なかなかしっくりキテマス。 |
コンタレックスゾナーと比較。先端のバヨネットが似てますね。絞り羽根も似てますよ。 |
zeissのゾナーには思い入れがあります。
これまで私自身使ってきたゾナーは、@戦後直後のゾナー(戦前とまったくの同設計)、A東独のゾナー、B西独コンタレックスのゾナー、C京セラzeissのゾナー、そして今回のコシナzeissのゾナーと5世代に渡って使ってきました。
レンズ構成図を見るに、zeiss自身、何をもってゾナーとするかは様々なようで、大きく考えると、非対称型で後群が貼り合わせ、或いは後群1枚のテレフォトタイプをゾナーと称するように思います。特に、このレンズを貼り合わせするということは高い技術が要求されるもので、コーティング技術が発達していなかった当時、レンズを貼り合わせる、或いは巨大な塊の硝子材を使うことによって反射防止としていたようです。時代は下って、コーティング技術が進歩していくにつれて、このような面倒な技術は排され、それと同時にこれまで描写性能に圧倒的優位性を誇っていたゾナーだったのですが、ズミクロンなどのガウス型に圧されてしまう結果となりました。
ちなみに、zeissといえば、ヤシコン時代しか知らない方々にはプラナーを思い浮かべるでしょうけど、zeissの黄金時代を支えたのはなんといっても天才ベルテレが設計したゾナーだったわけで、さしものライバルのライカ(ライツ)のベレークもこれにはかなり苦戦を強いられたと言われています。戦後、ニコンが東洋のzeissたらんと設計したカメラはzeissのコピーでして、そのレンズのほとんどはゾナータイプだったことからも、ゾナーが如何に優れていたかを物語っています。
ゾナーの特徴は解像力がありシャープだという巷の評がありますが、ゾナーの本質はそれではないように思います。ゾナーの特徴はなんといっても、背景の溶けるようなボケにあり、それと対照的に被写体は輪郭線の強い、言わばコントラストの強さで、独特の立体感が描写されます。プラナーとゾナーを比べたときに、そのボケ味というのはかなり違っていて、プラナーのボケはあくまで秩序を保ったボケ方をしますが、ゾナーは豊かな色彩とともに崩れるようにしてボケます。解像力はガウス型であるズミクロンやプラナーに一歩譲りますが、そうした豊かな色彩のボケ味そしてコントラストを適度に保った独特の立体感はゾナーならではのものでしょう。またガウス型において起こりやすい二線ボケも、その大きなボケ味のせいか、昔から起こりにくいと言われていますね。
さて、このレンズについてですが。
祖とされるのは、zeiss optonのsonnar 5cm f1.5ですが、レンズ構成図を見ると復刻元となったものに比べ若干異なります。こういうあたりがコシナzeissの憎いところなのですが、完全コピーに終わらず、どのレンズも毎回少しずつ変えて復刻しているんですよね。具体的にこのレンズはなにが違うかと言いますと、オリジナルでは前群は3枚貼り合わせなのですが、このレンズでは3枚のうちの真ん中のメニカスレンズを抜き、空気レンズとしてしまっているあたりが違います。前群で空気レンズといえば、それこそズミクロンが有名ですが、なんとこの新設計においてはそれを用いたのです。
メニカスを抜いた空気レンズですので、表向きは4群6枚構成ですが、実のところその本質はオリジナルと同じ3群7枚構成なのです。ここが非常に興味深い点でして、私はほとんどこれに惹かれて購入したとも言えます。
空気レンズを用いて、新しいコーティングをまとった現代のゾナーはどんな描写なのでしょうか。
すごくワクワクしました。
しかしながら、皆さんはどうもプラナーやビオゴンのほうに走るせいか、一部の方々のみ人気があるレンズなようで、結果売れないようでしてコシナも出し渋っているようです。気づけば中古もほとんど出ていない状況であります。従って、値崩れがほとんどしないまま現在に至っています。私は幸運にも新品同然のものを格安で譲り受けることができました。
描写としては、期待していた通り、ゾナー特有のなめらかで色彩豊かな背景ボケ、独特の立体感が楽しめます。解放近辺では優しいフレアをまとい、それはよく見ればf8になっても若干うっすらと残ります。コシナzeissらしい透明感とともに、どことなく優しげなその表情は、可憐な少女が儚げに微笑む姿を思い起こさせます。
このc sonnarと同じ「c」のつく、ライカ設計のズミクロンcにはこのような表情はありません。あちらはパキパキにシャープです。従って、このレンズは被写体を選ぶわけでして、女性のポートレートには向いていても、文書の複写のようなものには向いておりません。
気になる最短撮影距離ですが、x-pro1などのミラーレス機で使用する場合、今では便利なヘリコイド付きアダプターが販売されています。純正にこだわらなければ、そういうアダプターを使えば、近接撮影においてもこのレンズの独特な描写が楽しめます。
総じて思うことは、被写体は選ぶものの、この独特の描写はハマったらクセになります。オリジナルと繋がりがあるという意味においては、zeissゾナーの最終進化系と言っても過言ではなく、このレンズはそういう意味において、zeissの歴史においても非常に意味のある存在だと思います。気になる方はディスコンになる前に是非どうぞ。ちなみにディスコンとなったゾナー85ZMは今ではどこを探しても見つけることができません。それほどでは無いかもしれませんが、そのうち入手が難しくなるでしょうね。
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レビュータイトル | 満足度 | 投稿日時 |
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2022年11月4日 10:31 |
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2022年4月11日 20:19 |
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2021年7月2日 20:33 |
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2020年9月6日 21:16 |
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2017年2月5日 17:50 |
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2015年5月17日 18:20 |
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2014年2月2日 16:21 |
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2013年9月23日 16:28 |
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2011年7月9日 01:14 |
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