『衛生的で、安全性も高い。電気代は使い方でサポート。』 象印 EE-TB60-BM [ソフトブラック] 多賀一晃さんのレビュー・評価

[多賀一晃]

2025年10月29日 23:53 [1992855-1]

満足度	4

デザイン	5
加湿能力	5
使いやすさ	5
静音性	5
サイズ	5

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」（「満足度」含む）および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

衛生的で、安全性も高い。電気代は使い方でサポート。

外観。黒色なのでモダンに見えるが、電気ポッド系のデザイン。	開ける時はロックを外しながらで大変。湯気が出るところは火傷注意。	コンソールパネル。並びもキレイで使いやすい。
「給水」は目立つ様に赤字。	フタは外れるので、水道から直接給水可能。満水線を越さないこと。トラブルの元。	着脱可能な電源コード。電気ポッドと同じ。

グンマの名物は「からっ風とかかあ天下」と言われるが、冬の日本は乾燥する。寒冷前線が日本海側に雪を降らす。空気内の水分は雪となってなくなるので、山脈を超える間に乾いた風となり、太平洋側にどーっと吹く。その典型例がグンマ名物のからっ風で、関東平野を吹きさらす。いわゆる北風だ。
子ども用の演歌として作られた「北風小僧の寒太郎」で寒太郎は三度笠、道中合羽で登場するが、アニメのモデルは当時流行っていた笹沢左保原作の木枯し紋次郎。生まれは上州新田郡三日月村。「からっ風」には、そんなパワーがある。

それはともかく、北風を待っている厄介モノがいる。ウイルスだ。ウイルスは湿度があると活動が鈍る特徴がある。ウイルス性の感染症は夏ではなく、冬に流行するのは、それが理由の１つだ。

冬場の乾いた空気は、喉の粘膜に対し影響がある。弱った粘膜にウイルスが付くと大変。風邪、インフルエンザ、コロナなどに感染してしまう。

しかも喉だけでなく、肌も同じ。このため、女性は冬というと、まず加湿器を用意する。が、この加湿器が問題になることも多い。

湿度というのは、大気中の「水蒸気」量のことだ。水蒸気は水の気相のこと。分子式は、水と同じH2O。が、加湿器の中には、水蒸気ではなく、超音波で水を振動、ミスト化させ空気中に放出するものがある。「超音波式」と言われるモデルだ。超音波発生装置は、安価な上、小型。小型なのでデザイン制約がない。

超音波式の場合、大気中に出ていくのは、「水滴」であり「水蒸気」ではない。これが、問題になる。前述の通り、水蒸気＝水分子なので、水蒸気は水蒸気でしかないが、水滴は幾ら小さくても水。水滴以下の大きさのものなら、含むことができる。例えば、ウイルス、黴菌（バイキン。かびの胞子、病原菌など人間に害をもたらす微生物の総称）の類であってもだ。

水タンクに黴菌が繁殖などすると、超音波式加湿器の場合、室内全体に黴菌をぶちまけるに等しい。しかもミストという、人の体内に入りやすい。

このため、超音波式加湿器は、きれいな水＝病原菌がいない水＝水道水を使うことが条件となる。

超音波式でなく、水蒸気が出るタイプでも、水タンクが汚染されると、カビの胞子が飛び散る場合もある。アスペルギルスと呼ばれるカビは、胞子を吸い込むと肺アスペルギルス症などを引き起こす場合がある。

これでわかるのは、水タンクを持つ加湿器は、常に衛生に注意しなければならないということだ。このため、加湿器は全タイプ、水道水を使うのが当たり前になっている。

今回メーカーから貸し出してもらいテストした象印の加湿器は、「スチーム式」と呼ばれるものだ。水を加熱し、水を気化させる。水分子であるので、ミストのように黴菌をばら撒くことはないし、水は加熱するので、黴菌も繁殖しない。

お湯といえば魔法瓶というわけではないが、スチーム加湿器は、象印の十八番だ。

今回、EEE-TB60をメーカーから借りチェックしてみた。

【デザイン】
電気ポットに似た円筒形デザインだが、少々高さがあり、スッキリした感じ。電源コードは取り外すことができるところも電気ポットに似る。
フタを開けるには、大人でも少々手こずる。ロックレバーを解除しつつ、開閉つまみであける必要がある。安全を守るためにここまでするのかという感じだ。
とても安心できる堅牢デザインだ。

【加湿能力】
床面積でみると、弱で洋室：6畳。強で洋室：17畳。弱で200mL/h、強で600mL/hを消費する。加熱により水蒸気を出すので、使って10分もすると部屋が「温み」始める。

【使いやすさ】
堅牢であり、フタこそ開けにくいが、使いにくさはない。
水を入れる時は、加湿器を動かさずにカップなどで水を入れることもできるが、フタを完全に外し、加湿器本体を移動させ、水を入れることもできる。水を入れると一気に重くなるが、取っ手があるので、全く問題はない。
あとは運転ランプを見ながら、「選択キー」で自分のやりたいモードを選べばよい。コンソールには、、その他、タイマー、チャイルドロック、明るさ切替、湯沸かし音セーブなど、全スィッチがあり迷うことはない。
また転倒させても、漏れ出すことはなかった。が、本体には「湯が漏れる」とシール貼りがあり、十分注意が必要。

また「給水」は、他の表示が緑色なのに対し、赤色。離れていても見やすい。

【静音性】
「強」にすると、湯が沸く音がする。私が幼い頃は、家中でもストーブを使っていたが、必ず水をたっぷり入れたヤカンがのっていた。その時の音に似ている。
が、水蒸気は沸騰しなくても出てくる。「弱」「湯沸かし音セーブ」すると湯沸かし音はしない。その他は「無音」である。

【サイズ】
手頃。加湿器を使う時の難しさは、置く位置。あるメーカーは「部屋の真ん中で」と訳のわからぬことを言っていたが、個人的には、使う人から付かず、離れずが良い様に思う。当モデルのサイズはそれにちょうど良い感じだ。

【電気代】
当モデルの消費電力は985W。2025年の平均電気料金は31円/kWh。時間当り、30.5円。流石に熱を使う家電。かなり電気を使う。

【総評】
衛生的にはNo.1。安全性も高い丁寧な作りだが、湯を沸かすので、やはり電気代がかかる。連続で使い続けるのでなく、自分の近くに起き、メリハリを付けた使い方がお勧め。