『フィルムカメラの楽しさを手軽に』 ペンタックス PENTAX 17 [ダークシルバー] koothさんのレビュー・評価

[kooth]

2024年7月22日 01:47 [1865280-1]

満足度	5

デザイン	4
表現力	4
ホールド感	4
操作性	5
機能性	3
設定項目	4
携帯性	5

フィルムカメラの楽しさを手軽に

まず、この時代に
まともなフィルムコンパクト機を出してくれただけで
★いくつ付けてもつけ過ぎることはない。

一方、レビューだと、各種デジタル機やフィルム機と比べてどうかも大事。
なので、各項目は、やや辛めに評価している。

【デザイン】
ハーフサイズに合わせた縦長のファインダーと、巻き上げレバー。
そして飾りネジや、
往年のペンタックス/リコー機っぽいモチーフも各所にあり、
非常に好み。
ただ、あちこちにPENTAX銘があり、フォントが統一されていないし、
天面のAOCOマークとペンタックスロゴの下に
「CRAFTSMANSHIP by PENTAX」と入っているので、
★を一つ減らした。
PENTAXが2重に出てくるし、なにより職人技を持つものが、
その製品に「PENTAX PENTAXによるる職人技」など
宣伝文字を直入れしちゃだめ。
箱に文字を入れるとか、
シールで貼って剥がせるようにしておくべきもの。

【表現力】
よく写るレンズ（換算37mm）。
ハーフによる適度な粒状感。
寄れるし、いざとなればストロボもある。

作例は前半3枚が、曇天時にフジSUPERIA PREMIUM400で撮ったもの。
後半3枚が、晴天時にコダックGOLD 200で撮ったもの。
どちらも現像とデジタル化は町のカメラ屋さんにお願いした。
なので、各自で丁寧に現像、スキャンすれば、これ以上の画質が得られる。

【ホールド感】
片手持ち楽々

【操作性】
フィルムを入れて、少しだけ引き出してふたを閉める。
ISOをセットし、フィルムを巻き上げて空シャッターを何回か切る。
巻き上げレバーはオート110でレバーが小さいから不安だったが、
非常にスムースに巻きあがる。一眼レフを見据えた設計なのだろう。
小刻み巻き上げはできない。

撮影モードと距離ゾーンのシンボルを選んでシャッターを切る。
レンズが指定されたゾーンに移動し、シャッターが切れる。
ゾーンフォーカスかつバイワイヤ。
多分、リコーGR3のフルプレススナップ機能を
そのまま当機に持ってきている。
バッテリーの関係で速度はGR3ほどではないが、そこそこ速い。

撮影モードは、
ストロボ自動、パンフォーカス固定のプログラムAE(AUTO)
ストロボありのプログラムAE、距離ゾーン選択（日中シンクロ）
ストロボありの低速優先プログラムAE、距離ゾーン選択（低速シンクロ）
ストロボなしのプログラムAE、距離ゾーン選択（P）
ストロボなしの低速優先プログラムAE、距離ゾーン選択
ストロボなしの開放優先プログラムAE、距離ゾーン選択(BOKEH)
ストロボなしの開放バルブ、ユーザが距離ゾーン選択(B)
だが、フィルム機なのでISO固定ゆえ、
低速優先は、Pよりパンフォーカス気味に制御なのだろう。
これらモードの切り替えはダイヤル1つで簡単設定だが、
ダイヤルが動きやすい。

露出補正はプラスマイナス2EVの範囲で可能。
これ以上の範囲を設定したければISOダイヤルで。
フィルム感度は変わらないから、ISOを高く設定するほど露光はアンダーになる。

ファインダーは非常に見やすく、
遠距離枠と近距離枠、そして距離ゾーン。
警告ランプはファインダー脇にある。

巻き戻しは、底面のボタンを押した後、巻き戻しクランクをクルクルと。
巻き上げがスムースなのと引き換え、こちらは並コンパクト機。
クランク径がもう少しあれば、と思う。

【機能性】
リモートレリーズが使える。
今のデジカメやスマホにある
動画もオートフォーカスも顔認識も撮影画像の確認も一切ない。
フィルム機でよくある、多重露光用スイッチもない。

【設定項目】
フィルムのISO位しか事前設定する項目はない。
フィルムの箱をちぎって、背面のメモホルダーに入れるのは、
設定と言えなくもない。

【携帯性】
胸ポケットには入らないけれども、
背広やジャケットのポケットには収まる。
重量は、電池、フィルム、ストラップ込みで実測323gで、軽い。

【お値段】
今は円安だし、日本には程度の良い中古カメラがたくさんあるから、
税込み88000円は少々お高いように感じる人もいるだろう。
でも、世界で500ドルで売る機材って考えると、
フィルムコンパクト時代のサンキュッパ機なわけで、
そのクラスをはるかに超えるお値打ち品。
ペンタックスも元々そんなに人気になるとは思わなかったようで、
今は欠品で増産準備中。

【特記事項】
電池交換の際は、1円玉をドライバー代わりにしてネジを外すのが便利。
ネジは蓋に固定されていないので、なくしやすいと思われる。

軽くて気軽に撮れるので、意外と簡単に枚数が行ってしまい、
現像代に泣くことになるかも。

【ぐだぐだ余談】
PENTAX17のストロボのフレネルレンズのパターン、
そしてレンズキャップは愛機PENTAX Qシリーズがモチーフ
というか、同じ金型っぽい。

以前、初代キスデジとEOS-1に
EF50mmコンパクトマクロを付けて撮り比べたら
EOS-1はキスデジの劣化版画質だった。
フィルムはそれなりに粗いので、
同じレンズだと悪い意味での「粗」として見えやすくなるせいだ。
この粗さを楽しむとなると、デジカメで余り使わないレンズがお勧めだし、
その流れとしてコンパクト機はお勧めできる。


【総評】
大手メーカー、新品保証付き、
一眼レフ転用を見据えた気持ちの良い巻き上げ機構、
そしてよく写るレンズ。
中古カメラを買って修理を2回する気があるのなら、
当機種を買う方が良いと思う。

レベル

アマチュア

主な被写体

風景

夜景

その他