『見た目は地味ながら、音楽が楽しくなる絶妙チューニング！』 JVC Victor HA-FX150T-B [ブラック] 鴻池賢三さんのレビュー・評価

[鴻池賢三]

2023年1月10日 09:33 [1668277-1]

満足度	5

デザイン	3
高音の音質	5
低音の音質	5
フィット感	5
外音遮断性	5
音漏れ防止	5
携帯性	5

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」（「満足度」含む）および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

見た目は地味ながら、音楽が楽しくなる絶妙チューニング！

iPhoneXと大きさ比較	デザインと質感のご参考に	充電器兼用ケースに収めた様子

メーカーからサンプル機（メディア用）をお借りしてのレビューです。

【デザイン】
デザインには好みがあると思いますので、写真などを参考にご判断頂ければと思います。
外観は平凡。音質面では特徴のある製品ですので、デザインや質感でも、そうした世界観を表現すると、もっと魅力的な製品になったと思うのですが…　

【高音の音質】
まず、サウンドモードが「FLAT」の状態で、繊細かつ耳触りの良いサウンドが好印象。情報量が多くもきちんと整理されていて、端正さが心地よく感じます。原音忠実を狙いつつ上質さも兼ね備え、オーディオ機器として優秀に感じます。
加えて、本機の特徴は、「Tuned by VICTOR STUDIO」で、サウンドモードとして、「PROFESSIONAL 1」「PROFESSIONAL 2」「PROFESSIONAL 3」が用意されています。
どのモードもEQ調整は過多に施されておらず、音調（周波数特性）が僅かに変わる程度ですが、そこがプロの妙といった所でしょうか。楽曲の雰囲気を尊重しつつ、音楽を聴く「楽しさ」が増すから不思議です。
例えば「FLAT」と比較して「PROFESSIONAL 1」は、ボーカルの雰囲気は変えずに、余韻が乗って響きが美しく感じます。「PROFESSIONAL 2」は、ボーカルの存在感が増して聴き応えがアップといった具合。楽曲や好みにもよると思いますが、音楽を聴くのが楽しくなるでしょう。オーディオの醍醐味ですね。

【低音の音質】
誇張を感じず素直で、楽曲に含まれている低域をニュートラルに再現。重低音サウンドを好まれる方には向かないと思いますが、スッキリと見通しが良く、中高域の音質維持もきちんと考えてチューニングされているように感じます。オーディオ専門ブランドの良い部分と言えます。
低域で印象的なのは、サウンドモード「PROFESSIONAL 3」の利用。低域がやや重くなる感はありますが、重心が下がって低域楽器の音色が濃くなり、リズム感が増します。楽曲を選びそうですが、ユーザーの「選ぶ」楽しみを広げてくれるでしょう。

【フィット感】
小型軽量で、耳穴に挿入したイヤーチップで、イヤホンを固定するタイプです。イヤーチップの素材はサラッと滑りが良いので脱落し易い感はありますが、肌触りが良く快適です。

【外音遮断性】【音漏れ防止】
本機はANC機能を搭載しています。
大型スピーカーから各種騒音を鳴らし、疑似的に確認しました。
超強力タイプではありませんが、航空機内のような騒音も、カフェ内のような雑然とした騒音にも、明らかなノイズ低減効果が確認できます。
ANC機能オン時に閉塞感のような違和感を覚えないのも美点です。

【携帯性】
充電器兼用ケースもまずまず小型で、携帯性は良好です。
音質への拘りを謳う製品としては、非常にコンパクトと言えます。

【総評】
チューニングを含め、音楽が愉しめる音質性能は素晴らしいですが、見た目が凡庸でスペックもコーデックはAAC止まりと、アンバランスに感じる部分も。
一方、小型軽量で大げさになり過ぎず、価格がリーズナブルに抑えられているのは、ユーザーにとってメリットと言えます。スペックを重視するか、最終的な聴感を重視するかで、評価は分かれそうですが、筆者としては、類まれなる聴いて楽しいサウンドが大いに気に入りました。