『弱点もあるが魅力的 Google初のスマートウォッチ』 Google Pixel Watch [Polished Silver ステンレス ケース/Charcoal アクティブ バンド] 鈴木啓一さんのレビュー・評価

[鈴木啓一]

2022年10月30日 15:59 [1638413-1]

満足度	4

デザイン	5
操作性	4
機能性	3
サイズ・装着感	5
バッテリー	2

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」（「満足度」含む）および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

弱点もあるが魅力的 Google初のスマートウォッチ

ついにGoogle自身がスマートウォッチを発売するというので、Googleの直売サイトで予約して発売日に入手した。

【デザイン】
つるっとした丸いドーム型が印象的だ。コンパクトで、とても洗練されたデザインである。

評価は「５」とした。

【操作性】
リューズと、画面のタッチ操作ができ、一般的なスマートウォッチの操作系である。スマートウォッチの標準OSを目指す「Wear OS」の提供元が出したスマートウォッチなので、当然といえば当然ではある。

スマホのWatchアプリとBluetoothを使い同期して使用する。無線LANにも対応している。基本的なセットアップや接続は簡単だったが、後述のようにSuicaのチャージにはやや戸惑った。

評価は「４」とした。

【機能性】
各種センサーを搭載し、健康管理やスポーツ時のモニター機能はひと通りそろっている。Googleの子会社となったFitbitと共同開発が行われたと思われ、Fitbitアプリとの連携がしっかり組み込まれている。睡眠の分析、心拍数、歩数の計測などの機能は筆者も大いに活用している。

対応アプリや文字盤は出荷時からそのまま使えるもののほか、Google Play Storeなどで入手でき、特に文字盤はかなり豊富に流通している。たとえば「Facer」というのアプリや同サイト／サービスを使うと、本当に豊富な文字盤デザインを無償／有償で入手でき、必要ならばオリジナルの文字盤を自分でデザインすることもできる。

文字盤のディスプレイは320 ppiの有機ELである。発色がとても綺麗で、解像感も高い。文字盤表面は「カスタム 3D Corning Gorilla Glass 5」と呼ばれる強化ガラスとなっている。現時点で筆者の文字盤ディスプレイには傷やこすれた後は認識できない。従来使っていた機種よりも強いガラスかもしれない。

スマホとの連携機能も充実している。スマホアプリの各種通知を本機ににも届くようにしたり、スマホで音楽やビデオを再生するときに使えるリモコンの機能も持っている。なかなか便利である。

さらに本機にはNFC／FeliCaの機能が搭載されており、クレジットカードのタッチ決済やSuicaに対応しているが、残念ながら対応できるクレジットカード（デビットカード）がかなり限られる。また、Suicaの場合にも機能が限られており、定期券機能やSuicaグリーン券、「おトクなきっぷ」には非対応で、公共交通機関での利用や、店舗、自動販売機などでの物品購入の決済、Google Payでのクレジットカードを利用したチャージや、駅の券売機、コンビニエンスストアなどでの現金チャージなどができる。

筆者の場合は、電車やバスの通勤をしなくなったので、この機能で十分だが、もの足りないという声もあって当然かもしれない。

また、このSuica機能を設定する際に少し戸惑ったので触れておきたい。Web上のさまざまな情報サイトで設定方法が解説されているが、筆者の場合、それに従って設定手順を進めても「チャージ」の上限金額を超えるというメッセージでエラーとなって、思うようにチャージができないという問題を経験した。1週間ほどこの状態で困っていたが、突然登録したクレジットカードからチャージができるようになっていた。

どうやら審査か何かに時間がかかるということなのだろうが、詳しい説明もなく、いつ使えるようになるようになるかわからない状態で待たされるのは大変困る。詳しいことは不明だが、これはGoogle側の問題ではなく、Suica側の問題かもしれない。

とにかく現時点ではタッチ決済関連の完成度が十分ではないと言えよう。とても残念である。

評価は「３」とした。

【サイズ・装着感】
本体の直径は41mmとこれまで筆者が使っていたスマートウォッチより若干小さめで、厚さも薄く、軽く、コンパクトである。男性としてはやや小柄な方の筆者にぴったりなサイズである。

付属のバンドはシリコン素材によく似た柔らかいもので、フルオロエラストマーという素材である。装着感がよく、汗をはじくなど、水に強く、汚れを拭き取るなど清潔を保つのも簡単で、優れものである。

評価は「５」とした。

【バッテリー】
294 mAhのリチウムイオン電池を内蔵しており、最大２４時間使えるという仕様だが、残念ながら２４時間持ったことがない。筆者の場合、一日に２回は追加充電をして、バッテリー切れに備えている。

スマートウォッチはあくまでも時計であるから、電池を気にしながらの運用はとても困るのだが、本機種の最大の弱点だと考える。

評価は「２」とした。

【総評】
多くのスマートウォッチメーカーにWear OSを提供してきたGoogleが、スポーツ系／健康管理系に強いスマートウォッチを提供してきたFitbit社を子会社化して、まさに満を持して登場させたのが同社初のスマートウォッチ、本機種である。

当然期待は高いものとなったが、実際に購入して使ってみたところ上記のようにふたつの大きな弱点があるものの、おおむね満足度は高い。

Suicaやクレジットカードのタッチ決済機能は、今後の改善を期待しつつ使っていこうと思っている。

電池の持ちについては、充電をこまめに行う工夫をするしかないようだ。

世の中のたいていの製品は長所とともに短所、弱点も持っている。弱点をうまくカバーしながら使うのも、製品との付き合い方だと思う。このような弱点を理解した上でとはなるが、おすすめしたい魅力あふれるスマートウォッチである。

総合的な評価は「４」とした。