『「＋美容」を象徴するハイブリッドシェーバー』 パナソニック ラムダッシュ ES-MT22 多賀一晃さんのレビュー・評価

[多賀一晃]

2023年9月25日 09:12 [1762052-1]

満足度	3

デザイン	4
使いやすさ	4
剃り心地	3
手入れのしやすさ	3
バッテリー	3

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」（「満足度」含む）および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

「＋美容」を象徴するハイブリッドシェーバー

全体。シェーバーなのに、象徴である「刃」が見えない。	剃り刃は３枚刃。半分はイオンプレートが占める。	ヘッドをサイドから見たところ。刃のサイドは片方しか使えない。使いこなしが必要。
キャップを嵌めた状態で覗けるイオンプレート。スキンクリアモードに必要。	トリマー刃。小さく短いがよく切れる。	コンソール。日本語表記でもよかった様に思う。

男性メイクが市民権を得ている。シェーバーもメイクといえばメイクだが、シェーバーは基本「メイク」というより土台作り。ツルツルに剃り上げるのが、役目だ。今までのモデルは「肌を傷めず、深剃り」を極めようとしてきた。その課題に対し、パナソニックが選択したのは「多枚刃」。５枚刃が出てきた時の印象は未だに鮮烈なものがあります。印象は「静謐にして鮮烈」。本当は、モーターが五月蝿いはずなのですが、私は他社のモデルではできない集中がし易いです。

「スキンケアシェーバー ラムダッシュ」は「スキンケア」もできるモデル。男性メイクのメインはスキンケア。それを電気でサポートしようという考え方である。皮膚で一番のポイントは染み込みであるが、電気を上手く使うと、それをサポートすることができる。

ボディは、どことなく「つるん」とした感じのデザイン。多枚刃の場合、ヘッドの動きを妨げないことが重要なポイントでもあるのだが、多機能化の結果、ヘッド周りは学ランの詰襟のように機能パーツが取り囲む。結果、刃は３枚刃、ヘッドは左右にのみ振れる。ラムダッシュシェーバーとしては、シェーバーとして許されるギリギリの線かもしれない。

一方、刃を減らした部分には「イオンプレート」を搭載。肌へ直接当たる部分ということでプレートにはチタン素材が用いられている。加えて、肌を楽にするため「ヒーター」も搭載されている。美容家電のうち、RF美顔器（RFとはラジオ周波数の意。この周波数帯の電磁波を肌に照射することにより、肌を温め活性化する機能がある）は、肌を温めることにより新陳代謝を促す作用がある。そこまでではないが、肌を温めるのは、美容だけでなくシェービングに対してもいい。

それはさておき、美容液の色々な成分が、イオンプレートを当てることにより、手で塗るより、浸透量がアップする。どんなに優れたシェーバーでも肌のメンテナンスが必要であり、それに対しての有効な手段だとも言える。

方向性は正しいと思う。

多枚刃による剃りの制御も、今以上の効果を望むのは厳しいだろうし、美容家電メーカーのヤーマンが、RF美顔器の技術を入れたシェーバーで、当カテゴリーに参入してきた。また若者を中心に、美容も流行っている。

ただ、コンセプトの良さは、モデルの良さを保証しない。その間には、設計と技術があるからだ。今回、それを確認するためにメーカーよりサンプルを貸し出してもらい、テストした。

【デザイン】
カラオケマイクを感じさせるスキッとしたデザイン。５枚刃が設置されるヘッド天面を２分。その中に３枚刃を押し込めている。あとの半分はイオンプレートになっている。加えてヘッドは左右には動くが、前後に動かない。ヘッド半分を隠すようにトリマー刃が付けられている。襟高の学ランのようでもある。シェーバー母体のデザインではなく、新しさを感じさせる、コンセプトに合ったデザインと言える。

【使いやすさ】
３枚刃は、剃りたいところに真上から当てる。肌に垂直に当てる感じ。そして、刃がサイドまで出ている方が後ろに来るように動かす。最後は、刃のサイドで払うように剃る。これができるようになると３枚刃でもかなり深剃りができる。「こんな狭いところ」ながら、実に巧みに設計してある。

イオンプレートは押し当てるだけだが、ヘッドのサイドの傾きを上手く使えるように設計してあり、こちらも基本的には使いやすい。

しかし当モデルには、４つのモードがある。「シェービング」「化粧水シェービング」「保湿モード（化粧水などを塗った後、プレートを当てて成分を染み込ませる）」「スキンクリアモード（化粧水などを染み込ませたコットンをプレート部分が露出している専用キャップにセット。化粧水などを供給しながら、プレートを当てて成分を染み込ませる）」だ。シェービングは、イオンの有無、プレート温度には関係ないが、その他のモードでは自分に合ったイオン量、プレート温度を探す必要がある。このため、使い慣れるまでは結構手間なところも多い。

【剃り心地】
３枚刃なので、剃り心地はそれなり。同社の５枚刃、６枚刃の使い心地には敵わない。が、普段使いでは、それなりに納得できるレベルだと思う。

【手入れのしやすさ】
水洗い掃除とブラシ掃除で対応。普通。

【バッテリー】
プレートを温めるため、バッテリーの消費は早め。シェービング（３分）、スキンクリアモード（３分）、保湿モード（３分）で、５日間が目安。尚、スキンクリアモード、保湿モードの３分はメーカー推奨時間。
また、当モデルは電源ケーブルをつけたままでは動作しない。注意が必要。

【総評】
スキンケアは肌を温めるためでもあろうが、ひたすら気持ちがいい。
という意味で、魅了される人も多いのではと思われる。
が、他のモデルのように熟成されていないので、洗練度は劣る。身の回りで使う小物家電の場合は、それが大きな欠点になる場合も多く、自分に合わないと感じる人もいると思う。
価格は、２万５千円位。美容（スキンケア）に興味がある人はトライしてみてもいいかも知れない。