Hi-X65
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- イヤホン・ヘッドホン 329位
- オーバーヘッドヘッドホン 113位

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2022年12月8日 22:06 [1656359-1]
満足度 | 5 |
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デザイン | 4 |
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高音の音質 | 5 |
低音の音質 | 5 |
フィット感 | 5 |
外音遮断性 | 1 |
音漏れ防止 | 1 |
携帯性 | 4 |
少々乱暴ですが、本機の音を敢えて一言で表現するなら、「濾し取られた音」という感じでしょうか。
高音に注目して聴いて頂けると分かりやすいのですが、余計な(過剰な)色艶を意識的に排除して、クリーンでナチュラルな音を指向しているという感じです。「不純物がない音」と言い換えてもよいかもしれません。音の「スッキリ感」は相応に感じられます。
また音の粒子感も秀逸で、トライアングルやシンバルといった金属音などは特に「音の成分のきめ細やかさ」が際立ちます。この高音は決して「刺さる」感じや派手さはなく、極めて滑らかに聴くことが出来ます。この辺りは絶妙なチューニングと言えるでしょう。「高音」と言ってもいろいろなタイプがありますが、上記の通り「金属的な高音成分」と「それ以外の高音」とでキッチリと表現の仕方を変えているという印象です。
金属的な高音成分については、適度に「ハイライト」を利かせ、周囲の他の音よりほんの僅か浮き上がって聴こえるようなチューニングがされているように思います。個人的には、こうした聴かせ方には好感が持てます。
全体のバランスを乱すことなく、必要とされる用途・目的によって「いかようにも聴くことが出来る」という懐の深さを感じさせてくれるのです。
一方、低音に関しては、本機は開放型ではあるものの、かなり低いところまで聴くことが出来、超低音の音程まで明瞭に聴き取ることが可能です。この点などは、本機が「低音の再現性」にも優れていることの証左です。単なる低音ではなく、「超低音」の音程が正確に聴き取れるというのは、存外難しいことだと思いますが、本機はこの難関をクリアしています。
全体として言うなら、本機は「輪郭がクッキリした音」といったところでしょうか。換言するなら「シャープでスピード感のある音」、「瞬発力に秀でた音」とも言えますね。ただし「シャープでスピード感がある」とは言うものの、上に書いたように、無闇にエッジを利かせたような過剰な鋭さはなく、不必要に耳に刺さる刺激的な音は出しません。
この「シャープでスピード感ある音」、「瞬発力に秀でた音」という側面のみで言うなら(音の個性は大きく異なるものの)、ベイヤーダイナミックのDT1990PROあたりと似ているとも言えそうです。
DT1990PROは、高域と低域の鳴らし方に独特な個性が乗っており、モニターヘッドフォンではあるものの、若干音に色気を感じさせますが、本機の音は、そのDT1990PROから余計な色気を削ぎ落とし、よりニュートラルな音に仕立て直したような感じです。
ということで、上記のような要素は、まさしく「モニターヘッドフォン」として、トータルで見ても非常に優れた性能を持ったものと言えるでしょう。
なお、本機は開放型ではあるものの、鳴り方においては若干「密閉型」を思わせる聴感があります。
音楽再生中にハウジングの外から聴けば盛大に音漏れしていますし、間違いなく「開放型」なんですが、どういう訳か「開放感」は控えめです。これだけ音漏れしているなら、もう少し開放感があってもおかしくはないと思うのですが、この点に関しては不思議なところです。
従って、「開放型」で期待するような「音の広がり」は幾分控えめですので、「開放感」、「空間感」、「音のヌケ」を重視する人だと、若干残念感があるかも知れません。
次に装着感について、本機は非常に優秀で、これだけ付け心地の良いヘッドフォンは、モニターヘッドフォン以外の「リスニング用」のヘッドフォンまで含めてもなかなかありません。装着感の良さは、間違いなく全ヘッドフォン中でも上位10%内に入ると言って良いかと思います。長時間のモニタリングでも不快感は出にくいでしょう。
強いて言うなら、個人的にはイヤパッドはベロアの方が良かったのですが、こればかりは仕方ないでしょうね。
最後に、一点だけ難点を言うなら、本機はスペック上ではインピーダンス25Ω、能率が110dBということで、決して「鳴りにくい」はずはないのですが、実際に聴いてみると、これで存外気難しい印象があります。少なくともスペックから読み取れるほどには鳴ってくれません。
スペック上ではモバイル環境でも問題なく使えるはずなんですが、実際には簡易環境では音量が取りにくかったり等、少々厳しい感じがあります(モバイル環境で使えない、という意味ではありません)。
AKGの技術者が立ち上げたブランドということで、だからという訳でもないでしょうが、AKGにも通じる「鳴らしにくさ」があると思います。
スペック以上にしっかりとしたパワーのある再生環境を用意してやらないと、本機は本領発揮してくれないでしょう。
業務用モニターである以上、そもそも「鳴らしやすさ」を優先するものではないでしょうが、現代の一般的な音楽制作環境を考慮に入れるなら、もう少しだけ「簡易環境でも充分に鳴ってくれる」という面を重視しても良かったのではないかと思います。
以上、若干の「鳴らしにくさ」という点はあるものの、総じてモニター用として「痒いところに手が届く」かのような作り込みがなされた、非常に高いポテンシャルを秘めた「新時代モニター」の優秀機、という感じです。
音楽制作をされる方で、手頃な価格で使い勝手の良い「優れたモニターヘッドフォン」をお探しの方であれば、一度は試聴してみる価値のある逸品と言えるでしょう。現代における最新のモニターヘッドフォンとして、充分に高評価出来る内容を持っています。
個人的には、5万前後で購入でき、且つ音楽制作時に使える「開放型」のモニターヘッドフォンとしては、SHUREのSRH1840、オーディオテクニカのATH-R70x辺りと並ぶ、気合の入った本格的なモデルのひとつだと思います。
- 主な用途
- 音楽
参考になった3人
「Hi-X65」の新着レビュー
レビュータイトル | 満足度 | 投稿日時 |
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2022年12月8日 22:06 |
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