『とにかく広くなって快適性が大幅に向上したハイト系ワゴン』 スズキ ソリオ バンディット 2020年モデル 高山正寛さんのレビュー・評価

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高山正寛さん

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プロフィールこの度プロフェッショナルレビューを担当させていただきます高山正寛(たかやませいかん)です。1959年生まれで自動車専門誌で20年以上に新車とカーAV記事を担当しフリーランスへ。途中5年間エンターテインメント業界でゲーム関連のビジネスにも関…続きを読む

満足度3
エクステリア3
インテリア3
エンジン性能3
走行性能3
乗り心地4
燃費4
価格3

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

とにかく広くなって快適性が大幅に向上したハイト系ワゴン

ロールはそれなりに伴いますが、前後の揺れが減ったことで高速道でも快適に走れます

ボディカラーはバンディッドのみツートンカラー4色を設定。合計13色の展開となります

センターメーターは継続採用ですが、ドライバー側にオフセットすることで視認性が向上

左右独立で165mmのシートスライドとリクライニング角度を28度から56度に拡大しました

新採用のスリムサーキュレーターは前後の室温差を均一化する効果があります

全長を80mm拡大した分はほとんど荷室長(奥行き)充てられ、100mmも広くなりました

 スズキのコンパクトハイトワゴンである「ソリオ」の4代目となる新型「ソリオバンディッド」に試乗しました。

 10秒でわかるこのクルマの特徴は
@後席の快適性と荷室スペースの拡大
A全車速対応ACCを始めとした先進安全装備の充実
Bハイブリッドはマイルド型1本に統一
といったところです。

 ソリオ自体は2000年12月に初代が発売されましたが、これはあくまでも当時のワゴンRの登録車版といった位置づけ、本腰を入れたのは2011年1月に発売された2代目からです。実際このモデルから後席スライドドアを採用し販売台数も伸びてきました。

 新型ソリオは5名乗車に対応する登録車ですが、昨今の軽自動車の躍進からも差別化を図らないと生き残りは難しいと感じています。さらに言えばスズキにはこのクラスの3列シートミニバンがありませんので、その部分は割り切りつつも、ユーザーニーズに応えなければいけません。

 新型では特にユーザーからの声として後席の快適性向上と荷室スペースの拡大を求められていました。もちろん昨今の安全装備の充実などは当たり前ですが、それと同時にリアルな消費者からの声を真摯に受け取りレベルアップさせています。

 まずデザイン的にはソリオが持つコンセプトを継承しつつ、全長を80mm(試乗したバンデッドは+70mm)拡大しました。この拡大分は荷室の床面長(奥行き)の拡大に充てられており+100mmを実現しています。もちろん後席のシートスライド機構は50:50の独立式で移動幅は165mmあります。後席を一番後ろにセットした状態だと大人でも足が組めるほど余裕があります。この場合の奥行きは550mm、この寸法は国産のBセグメントのコンパクトカーより短くなりますが、逆に一番前にスライドさせた場合でも足元にはギリギリの快適性は確保しながら奥行きは一気に715mmまで拡大します。

 つまり乗員数や荷物の種類に応じて従来以上に積載量が増え、フレキシブルに使えるようになった点は長らく軽自動車やコンパクトカーを手がけてきたスズキの得意分野と言えるものです。

 しかしどうしても改善して欲しいのが後席の中央部にヘッドレストが無いことです。50:50のシートとはいえ、このクルマは5名乗車の登録車ですからこれは絶対に必要です。ライバルと想定されるダイハツトールも小型ではありますが、きちんと中央のヘッドレストは装着されています。

 実は過去にもイグニスやクロスビーに関しても同様で開発に質問したことがあるのですが、あまり明確な回答はもらえていません。逆にグローバルで展開するスイフトには装着されています。コストダウン自体は否定しませんし、先進安全装備の充実も素晴らしいことですが、基本の安全に関してもきちんと行って欲しい。ゆえに厳しい言い方ですが、ソリオは定員5名ですが、4名乗車までと割り切って乗って欲しいのです。

 その一方で後席の快適性はかなり向上しています。前述したように4名乗車と割り切れば、後席にはセンターアームレストが別々に設置され、リクライニング機構は従来の倍となる56度まで倒れるようになりました。これをどう使うかはユーザーの考え方次第ですが、カタログ等に載っているように前席シートのヘッドレストを抜き、倒すことで休憩時の簡易ベッド的に使うこともできます。

 また今回スズキの登録車初となるスリムサーキュレーターはスペーシア系で採用されているものと同じ考え。室内高のあるトールワゴンの場合、頭上周りを中心に熱が溜まることが多く、この装備は役立ちます。実際スズキによれば使用して一定時間回すことで前後席の温度差が縮まり、冬場などでは後席足元の冷えもかなり軽減できるそうです。

 前席に目を向けると基本的は旧型同様にセンターメーターを採用していますが、これ自体も運転席側にオフセットすることで視認性もさらに高まっています。さらに新設定されたフルカラーのHUD(ヘッドアップディスプレイ)には走行時における必要な情報がほとんど表示されることで視線移動も抑えられますし、筆者もそうですが焦点合わせがやや苦手になってきた高齢者の方にはかなりありがたいと感じました。

 収納の多さはこの手のクルマのセールスポイントですが、これは良い!と思ったのが実は運転席側のドリンクホルダーです。

 ペッドボトルだけでなく紙パックも置ける形状だけでなく、ドライバー側に近づけて設置されています。スズキによればペットボトル1本分とのことですが、腕を無理に伸ばし背筋が浮いてしまうことなくスッと飲み物に届く絶妙の位置に設置されています。この他の収納類も最近のスズキ車同様に使い勝手も良く、派手な新機能は少なくてもこれまでの装備をしっかりとレベルアップさせています。

 走りに関しては全グレード1.2L直4DOHCを基本として、バンディッドやソリオにはモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドが設定されています。

 ソリオは旧型で5速ASGを組み合わせたフルハイブリッドも設定されていました。筆者的にはこのシステムは限られた予算内で見事に低燃費とダイレクトな走りの良さを実現した発明と評価していたのですが、実際これによる価格上昇やASG独特の(軽め)変速ショックはユーザーには受け容れられなかったようです。ディーラーで話を聞いても「200万円を大きく超えるとスズキのお客様は敬遠する」という声からも先進安全装備を搭載しながら今回の価格設定がギリギリ上限なのでしょう。

 とはいえ、実際走らせてみると特に日常では不満はありません。実用燃費は市街地から高速走行を含めて19.6kmとほぼカタログ並み、特に静粛性の向上と前述したように後席の乗り心地は大きく向上しています。個人的はリアの足回りを少し柔らかくしたことやパワステの味付けが軽めなことから高速走行時のしっかり感はもう少し欲しい部分ですが、ACCの“利き”自体も及第点でこれ1台で日々の生活をカバーできる利便性の高いクルマに仕上がっています。

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