『存在の耐えうるレベルの軽さ』 マランツ CD6007 和じぃさんのレビュー・評価

[和じぃ]

2022年8月30日 14:26 [1615637-1]

満足度	3

デザイン	2
音質	4
出力端子	3
操作性	2
読み取り精度	3
サイズ	2

存在の耐えうるレベルの軽さ

良くも悪くも音が軽い。
あくまで旧機（デノンS10）との比較による個人的印象である。

現用システムは
CDP DENON　S10
アンプ　マランツPM15S
SP　クォード22L

名機S10もさすがに古くなった。
購入から30年、ピックアップを入れ替えてからでも15年経ている。
数年前からトレイの開閉がおかしくなり、オープン状態を保持できない。CD盤の出し入れは毎回瞬間芸を求められる。
さらに最近になってリモコンの一部機能（ポーズ、停止、トラック指定など）を受け付けなくなった。

ということで買い替えを決意。

30年の間にピックアップやDACの性能は格段に進歩しているはずと期待して、あえて低価格帯（５〜6万円クラス）の中から本機に決めた。

S10に比べると２〜３クラス下、アンプやスピーカーのラインアップから見ても明らかに格落ち感は否めない。（価格は30年前のS10の3分の１）

アンプと同ブランドとすることで視覚的統一感も期待した。しかしシャンパンゴールドのPM 15Sとシルバーの本機では色あいが違う上、正面パネルの縦のスリットの位置が違うため視覚的なマッチングはなく、スーツの上着に同系色のズボンをはいたようなチグハグ感に少しがっかりした。

では肝心の音はどう変わったか？

冒頭に書いたように、
S10に比べて「軽い」というのが第一印象であり、様々なソフトで比較視聴を繰り返してもその印象は変わらない。

S10に比べて音色は明るく情報量も多いのだが、全体として「軽い」。

チェロの中音域やピアノ左手にわずかだが薄ぺらさを感じる。
JAZZのウッドベースの底力みたいなものが響いてこない。

あくまでS10との比較の話で、単独で判断すれば充分に良い音と言っていい。

フージョン系ではパーカッションの楽器数が増えたような錯覚を覚えるほど情報量が増えている。具体的には音のエッジが立っているからそう感じるのだろう。
ブルネロの無伴奏チェロも聴いてみたが、あの独特の妖気をうまく表現してくれた。

音の芯の厚みみたいなものはどうしようもないが、価格的には充分のパフォーマンスだと思う。

喩えて言えば、S10は35ミリフィルムで本機は４Kデジタル映像。バーグマンの美しさはどちらの方が伝わるのかという話だと思う。

あるいは15年前のAMGとシビックの新車との違いと言ったら、言い過ぎだろうか？