『カーボンボディの特殊なスーパースポーツ』 アルファロメオ 4C スパイダー 2015年モデル 松下宏さんのレビュー・評価

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『カーボンボディの特殊なスーパースポーツ』 松下宏さん のレビュー・評価

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プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む

満足度3
エクステリア4
インテリア3
エンジン性能5
走行性能4
乗り心地3
燃費1
価格2

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カーボンボディの特殊なスーパースポーツ

アルファロメオの本格的なスポーツカーである4Cスパイダーに短時間ながら試乗したのでレポートしておきたい。

4Cスパイダーはカーボン製の軽量ボディを持つスポーツカーで、手の届くスーパーカーをキャッチフレーズにしたクルマである。車両本体価格はクーペなら800万円強、スパイダーでも860万円ほどだから、サラリーマンでも頑張れば買えそうなクルマともいえる。“手の届く”という触れ込みもあながち大外れではないようにも思えるが、車両価格以外のいろいろな要素を含めて考えると、4Cはそう簡単に買えるクルマではない。

アルファロメオ4Cスパイダーには、FCAジャパンが白馬高原で開催した試乗会に出席し、用意された広報車両に試乗した。試乗車は右ハンドル車だった。

4Cスパイダーのボディは全長が3990mmと4mを切るコンパクトカー並みのサイズなのに、全幅は1870mmもあって本格的な3ナンバー車である。全高はわずか1190mmしかなく、これはロードスターよりも低い。カタログに最低地上高の記載はないが、これも相当に低そうなので、傾斜のある部分では神経を使うことになりそうだ。

さらに、最小回転半径は5.5mとあまり大きくないのだが、ステアリングはアシスト機構を備えていないので、据え切りを迫られるシーンでは苦労することになる。このような事情があるから、誰にでも買えるクルマではないということだ。

4Cスパイダーは軽量で高強度のカーボンボディを採用することで、素っぴんベースの状態ではクーペが895kgと軽自動車並みの車両重量であると言われていた。これは乾燥重量なので実際には燃料や油脂が必要になり、さらに日本仕様車ではエアコンなどの快適装備も追加されているから、試乗した4Cスパイダーの車検証には車両重量が1060とされていた。結果的にはロードスターよりもやや重くなっている。

ボディの全高が低いことに加え、カーボンをむき出しにした幅の広いサイドシルを乗り越える必要があるため、乗り込むのもけっこう大変だ。それでもロータスよりは乗りやすいので、肥満体型で体が硬くなった老人である私でも何とか乗り込むことができた。運転席に座ってしまえば、タイトなコクピット空間ながらそれなりに快適な空間が確保されている。

ただ着座位置が低いので周囲が見えにくく、走り出すときにはクルマの回りに障害物がないかどうか、けっこう神経を使わされる。またエンジンを始動するとブォンと空吹かしが入る。この爆音があるので時間と場所を考える必要がありそうだ。

走り出してすぐに角を曲がるようなシーンでは、パワーアシストのないステアリングがこんなに重いものなのかと改めて知らされた。車両重量が軽く、しかもエンジンが後部に搭載されているので前輪荷重はより軽いはずなのに、低速でのステアリングは思い切り重いのだ。

条件の整ったシーンでDモードを選んで発進加速を試すと、文字通り背中を蹴飛ばされるような強烈な加速を体験させられる。低速ギアがローギアードな設定になっているため、液晶のデジタルメーターを見ていると、黄色いバーグラフがあっという間に6000回転を超えてレッドゾーンの近くまで吹き上がり、2速〜3速へとシフトアップしていく。それも爆音を伴っての加速なので、慌ててアクセルペダルを緩めるような結果になってしまった。

トランスミッションはデュアルクラッチのアルファTCTで、その変速時間は極限まで切り詰められている。停車状態からの発進では、最適かつ最速の発進が可能になるローンチコントロールの機能も備えている。

リヤのミッドシップに横置きに搭載されるエンジンは、ジュリエッタなどに搭載されるのと同じ1750ccの直噴ターボ仕様で、4Cに専用のチューンを施すことで177kW/6000rpm、350N・m/2100〜4000rpmのパワー&トルクを発生する。

数値的な性能はジュリエッタ用のエンジンと大きな違いはないのだが、吹き上がりのフィールなどは全く別物と言っても良いくらいで、車両重量が300kgも軽いことと合わせて桁違いの加速感が味わえる。

ブレーキペダルのフィールもとても重い。サーボ機構のないブレーキなので、踏んだ分だけしか効いてくれない感じだし、踏み代がほとんどないに等しい感じなのでひたすらペダルを踏みつけるような感じになる。

官能的かつ豪快な走りが楽しめるアルファ4Cだが、これを日常的なクルマとして使うのはちょっと無理。資金的にも、それ以外の部分でも余裕があるユーザーが、2台目以降のクルマとして所有し、日常の生活シーンを忘れたいようなときに乗るクルマだと思う。

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