『大容量の空間を持つが走りには一定の限界もある』 ダイハツ ウェイク 2014年モデル 松下宏さんのレビュー・評価

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プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む

満足度2
エクステリア3
インテリア3
エンジン性能4
走行性能4
乗り心地3
燃費3
価格3

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大容量の空間を持つが走りには一定の限界もある

ダイハツのウェイクは新コンセプトの軽自動車だ。軽自動車は基本的に全車が、エンジンの排気量のほか全長と全幅の規格をいっぱいに使って作られている。その上で、全高が低めなアルトやミラ、ハイト系のワゴンRやムーヴ、N-WGN、超ハイト系のタントやN-BOX、スペーシアなどに分けられる。

そこにさらに高い全高を持つウエイクが登場した。ウェイクは全高が1835mmもあって超ハイト系のタントと比べてもさらに85mmも高い全高を持つ。やや異様ともいえるパッケージングである。

ウェイクには、ダイハツが幕張ニューオオタニをベースに開催したメディア関係者向け試乗会に出席し、ターボ仕様のエンジンを搭載したG“SA”に試乗した。

ウェイクの見た目はかなり大きく見える。全高が高いことに加えて角張ったボディを採用することから、四角い箱のような感じで大きな塊に見えるからだ。ただ、正面から見たときの縦横比はやはり異様な印象がある。妙に細くてのっぽである。

運転席に乗り込むとインパネの中央に左右に大きく広がったセンターメーターが配置され、その上に広々とした視界が広がっている。着座位置をやや高めに設定して見晴らしの良い開けた視界を確保したのがウェイクの特徴だ。

室内空間は十分な広さがあるが、タントが室内空間の広さを徹底追求したクルマとして作られているので、ウェイクは方向性をやや違えて、後席の空間はほどほどに大容量のラゲッジスペースをクルマとして作られている。

ラゲッジスペースは標準状態でもけっこうな広さがあるが、分割可倒式のリヤシートは座面を起こして背もたれを折りたたむと、フラットで広々とした空間が生まれる。シート表皮にはっ水加工が施され、シートの背面は防水仕様とされているので、水濡れや汚れなどが処理しやすいのも特徴だ。

ウェイクのラゲッジスペースにはほかにもいろいろな工夫が凝らされていて、遊び道具をいっぱいに積んで遠出をするといった使い方に適している。

試乗車がターボ仕様のエンジンを搭載したG“SA”だったので、走りにはまずまずの余裕があった。軽自動車のエンジンは排気量が660ccに限られている上に、パワーの上限が47kWという自主規制がかけられているので、動力性能はどのクルマでも大差がない。ウェイクは軽乗用車の中でも最も重い部類に入るので、走りはどうかと思っていたが、ターボ仕様車はそれなりに良く走った。

ただ、ウェイクよりも軽い軽自動車はもっと良く走るわけで、ウェイクがほかの軽のターボ車に比べて特に良く走るという印象でもない。ターボ仕様であっても走りの余裕はそう大きなものではない。このあたりが難しいところである。

ウェイクの車両重量は1tを超え、試乗グレードで1020kgに達している。これはタントに比べると60kgほど重い。ウェイクでは軽量化を頑張ったほか、クルマの下のほうに重いものを搭載し、上のほうは樹脂部品を増やしたり、スチールの厚さを変えるなどしている。

これによって重心高はタントに比べ10mmほどしか高くなっていないというが、それでも一定程度に重量が増加して重心高も高くなっている。クルマ作りの方向性としては必ずしも良い方向を向いているとはいえない。

ウェイクを走らせて操縦安定性に不安があるかといえば、そんなこともなかった。当然ながらダイハツも背の高いパッケージングに対応して操縦安定性を確保するための工夫をいろいろと凝らしていて、不安を感じさせないような走りを実現しているからだ。

クルマが全体にゆったりした動きを示し、妙なキビキビ感がないことがまず安心感につながっている。ステアリングはロックtoロックが3.25回転ほどだが、その割には操舵感覚もゆったりしている。前後(4WDは前だけ)に太めのスタビライザーを装着してコーナーでのロールを抑えているので、走りそのものは車高を感じさせないものになっている。

足回りはややアンダーステア傾向を強めにして安定性志向の走りとするとともに、妙に突っ張りすぎることのない足回りとしてチューニングされている。コーナーでは一定の安定性を示すと同時に乗り心地もバランスさせているのだ。この背の高いパッケージングの中で良く頑張った足回りだと思う。横滑り防止装置の介入がやや早めに感じられたが、これは横転リスクを下げるためである。

ウェイクは大容量空間のコンセプトに意義がアルトの見方もあるが、個人的にはあまりお勧めできるクルマではない。

基本的にクルマは軽くて重心高が低いほうが良い。ウェイクは背の高さで大容量を空間を作っているが、頭上部分に大きく広がる空間をどう使うかということになると、実際にはほとんど使えないのではないか。意味のない高さとしか思えない。

タントには軽自動車の枠内で最大の居住空間を追求したという大義があったが、ウェイクにはそうした大義が感じられない。少々というか、かなり無理なパッケージングのクルマであるというのが私の印象である。

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