『内外装や走りの質感は新興国向けエントリーカー』 日産 ラティオ 2012年モデル 松下宏さんのレビュー・評価

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松下宏さん

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プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む

満足度1
エクステリア3
インテリア2
エンジン性能2
走行性能2
乗り心地3
燃費3
価格2

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内外装や走りの質感は新興国向けエントリーカー

ラティオは乗る前に文句を言いたいことがたくさんある。そもそもが中国を始めとする新興国向けに開発したクルマであり、アメリカでもエントリーユーザー向けに販売し、世界で50万台を売れているという。そのクルマを中国やアメリカよりもずっと遅れて日本でも販売しようというわけで、日本が完全に後回しになっている。

日産自動車は社名が日産なのだから、日本の市場やユーザーを重視し、優先したクルマ作りをして欲しいのに、そうなっていない。しかも中国やアメリカで販売されるクルマには設定されているのに、日本向けのラティオでは省略されている装備がいくつもある。

特に文句を言いたいのが横滑り防止装置のVDCで、日本では2012年10月1日以降に型式指定を受けるクルマに装着が義務化されているのに、10月5日に発表されたラティオでは最上級グレード以外には装備されていない。はるか以前に型式指定を受けているため、10月5日に発表のクルマでも装着していなくても売り出せるのだ。

確かに法的にはそれで良いのだろうが、義務化がはっきりしている安全装備を全車装着にせずに売り出すのでは、「日産はクルマの安全に積極的に取り組むつもりはさらさらない」と宣言しているようなものだと思う。

ラティオの少し前の9月18日に発売されたフォルクスワーゲンup!では、横滑り防止装置のESPはもちろんのこと、先進安全装備の追突軽減ブレーキまで全車に標準装備されている。わずか149万円のクルマにも標準なのだ。

安全装備ではほかに、後席中央にヘッドレストレイントが装備されていない。後席中央の3点式シートベルトは装着が義務化されたから装着されているが、義務化されていないヘッドレストレイントは装備しないというのは何たることか。

ついでにもうひとつ文句を書いておこう。価格の割高感だ。ラティオはマーチと同じようにタイで生産されて日本に輸入されている。そのほうが安く作れるからタイで生産しているのだろうが、なのに国内での販売価格は日本で作ったクルマと同じような水準にある。これではタイで生産したことのメリットが日本のユーザーにもたらされていない。

マーチ系のプラットホームを採用し、直列3気筒1.2Lエンジンを搭載しながら、カローラと同じような価格である。カローラは日本で生産されて4気筒1.3Lエンジンを搭載するから、ラティオの割高感がいっそう強まる。

そんなラティオには、横浜の日産グローバル本社をベースに開催したメディア関係者向けの試乗会に出席し、日産が用意した広報車両に試乗した。試乗したのは最上級グレードのGだ。

乗る前に文句の多かったクルマだが、実際に乗ってみると、クルマ自体はそんなに悪いものではなかった。まあ、乗ってすぐに悪いところが分かるようなクルマはあり得ない話だし、ラティオは悪くないというだけで積極的にほめるような要素がたくさんあったわけでもない。

ノートのセダン版といった感じのクルマがラティオであり、プラットホームやホイールベースもノートと同じである。これによって後席には十分な空間が確保されている。

搭載エンジンは1.2Lの自然吸気エンジンだけで、ノートに搭載されているスーパーチャージャー仕様エンジンの設定はない。このあたりもちょっと格下のクルマを感じさせる部分である。スーパーチャージャー仕様のエンジンを搭載すると価格が高くなるため自然吸気仕様に絞ったようだ。

58kW/106N・mという実力は、排気量相応というか、まあ平凡なもの。ボディが割と軽く作られていて1000kgちょっとの重量なので、この動力性能でもそこそこの走りは得られる。副変速機付きのCVTがおいしところを使って走るので、タウンモードを中心に使うならまあ不満は出ないだろう。

走りに関して割と好印象だったのは足回りで、乗り心地重視の柔らかめの味付けながら、コーナーなどでは案外しっかりした走りを見せたからだ。

乗り心地が良かったことにはタイヤも関係している。タイヤがBSのB250という一般的なタイヤで、最近流行りの高い空気圧を設定したエコタイヤでないことが、乗り心地に影響してたのだろう。とはいえ、騒音や振動なども含めた走りの質感は全体として平均レベルにとどまっている。

外観デザインはまあ普通のセダンといった感じ。タイ製ながら粗さが目立つこともなく、またこれといってクォリティの高さを感じさせることもない平凡な仕上がりだ。上級グレードにはアルミホイールを設定しても良いように思った。

インテリアの仕様は明らかに安っぽさを感じさせる。インパネ回りはノートと共通化している部分が多いものの、ノートの上級グレードにはピアノブラック調のパネルや本革巻きステアリングホイールなどが採用されるのに、ラティオにはそれらがオプション設定すらされていない。新興国のエントリーユーザー向け仕様そのままといった感じだ。

上級グレードのGには、プッシュ式のエンジンスターターやインテリジェントキー、オートエアコンなどが装備されるのが、わずかに質感を感じさせる部分である。

もしも個人ユーザーがラティオを買うなら、最上級グレードのGしかない。1.2L車なのに170万円近い価格になるが、Gなら横滑り防止装置のVDCが標準で装備されているし、ほかにもプッシュ式エンジンスターターやインテリジェントキー、オートエアコンなど、充実した仕様が用意される。

Gの装備に加えて必要なのは、5万円弱のSRSエアバッグを始め、オーディオレスが基本なので10万円強の最もシンプルな仕様のカーナビと3万5000円のバックビューモニターを組み合わせて装着すれば良い。

後はETC車載器やドライブレコーダーなどを装着しても良いが、これらはディーラーで買うと高いので、オートバックスなどのカー用品店で安いものを買えば良い。

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