『「太鼓の操作」にこだわらなければ良質な音ゲー』 バンダイナムコエンターテインメント 太鼓の達人 ちびドラゴンと不思議なオーブ [3DS] 酒缶さんのレビュー・評価

[酒缶]

2012年7月18日 06:30 [520403-1]

満足度	4

操作性	4
グラフィック	3
サウンド	5
熱中度	4
継続性	3
ゲームバランス	4

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」（「満足度」含む）および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

「太鼓の操作」にこだわらなければ良質な音ゲー

パッケージ	パッケージ裏＆中身	パッケージ中

５０種類以上の曲を演奏できる和太鼓リズムゲーム、『太鼓の達人』シリーズの３ＤＳ第１弾。

モードは「演奏ゲーム」「ちびドラゴンと不思議なオーブ」「きせかえ」「スタンプ帳」「通信プレイ」の５つ。

「演奏ゲーム」でゲームに慣れ、「ちびドラゴンと不思議なオーブ」を攻略して「演奏ゲーム」の曲を増やし、再び「演奏ゲーム」をエンドレスでプレイしていく、という流れ。ゲーム内のノルマを達すると、服やスタンプが増えるので「きせかえ」でどんちゃんの服を着替えさせたり、「スタンプ帳」のたまり具合を確認したりできる。「通信プレイ」はインターネットプレイはなく、ローカルプレイのみ対応。

ゲームの演奏のシステムは『太鼓の達人』シリーズ共通の、画面の右から流れてくるマークが枠に重なる瞬間に下画面に表示されている太鼓にタッチするという定番の操作。赤いマークの「ドン」が流れてきたら太鼓の中心の白い部分をタッチして、青いマークの「カッ」が流れてきたら、太鼓のヘリの部分をタッチする。大きいマーク「ドーン」や「カーッ」が流れてきたら、白い部分の中心や太鼓のヘリのギリギリのところをタッチして高得点を狙う。その他、連続タッチして高得点を出す要素がある。

元々のゲームは「太鼓を叩く」という要素をそのままゲーム化しているため、直感的にわかりやすかったのだが、タッチパネルを太鼓として扱っている今作はいまいち原作のわかりやすさがなくなってしまっている。特に太鼓のヘリを叩く「カッ」やギリギリを叩く「カーッ」は、本来、何も考えなくても簡単に叩けたはずが、下画面をしっかりと把握しないとタッチし間違えてしまうというリスクがあり、いまいち気持ちよいプレイにならない。

また、本来、太鼓を叩くという操作は、ある程度無茶な操作を許容していたはずなのに、今作はゲームを起動した際に、「危険なので下画面を強くタッチしないでね」と注意表記があり、折角の気持のよい操作ができない。タッチスクリーンゆえに元々の作品のよさが削がれている。

ただ、タッチスクリーンと音ゲーの相性はよいため、画面に流れてくるモノを見ながらタッチで対処するという操作自体は面白い。個人的には、ゲーム内で推奨されている、付属のバチペンで太鼓を叩くような操作を疑似体験するよりも、両手でそれぞれ文字を書く時のようにバチペンを持ってプレイした方が、より直感的に操作できて面白かった。ＤＳ版もそうだったのだが、３ＤＳ版もすでに太鼓を操作するゲームではないので、『太鼓の達人』をモチーフにした別ゲームとして楽しんだ方が素直。

『演奏ゲーム』は、「やさしい」「ふつう」「むずかしい」の３段階の難易度があるが、同じ「かんたん」でも曲によってかなり難易度に差がある。「太鼓の操作」にこだわるとすれば、全体的に難易度が高すぎる。収録曲は、J-Pop、アニメ、ゲームミュージック、クラシックのアレンジなどがあり、J-Popかアニメに馴染みのある曲が収録されていてば十分遊びこなせる。

「ちびドラゴンと不思議なオーブ」モードは、音ゲーのシステムがうまく戦闘システムとして活かされていて、オーブの使用によってゲームの幅ができて、普通に面白い。


『シアトリズムファイナルファンタジー』など、３ＤＳには沢山の音ゲーが発売されているが、このゲームは「太鼓の操作」にこだわらなければ音ゲーのバリエーションの一つとして手元に置いておいてよい作品。「太鼓の操作」にこだわって考えると評価の「操作性」と「ゲームバランス」からそれぞれ１点引いた感じかと。