『日本の若手作家の真の実力を発揮』 アニメ pieces of love Vol.1 つみきのいえ[TDV-18323D][DVD] 6084さんのレビュー・評価

[6084]

2018年8月7日 21:08 [1016684-2]

満足度	5

笑える	5
泣ける	5
ほのぼの	5
迫力	5
怖さ	1
感動	5
やみつき	5

日本の若手作家の真の実力を発揮

本編を初めて観たのは以前の「広島国際アニメーションフェスティバル」でした。

まず驚いたのは、卓抜のアイデア。ワンアイデアと言ってしまえばそれまでですが。

次に画風が日本人離れしていること。欧米市場を意識していると言ったら言い過ぎでしょう。

そして、日本人にありがちな、何とかして悲劇に持ち込んで、お涙頂戴とか、地球温暖化の環境問題を絶叫とかもありません。

淡々と、静かに、何処となくユーモラスに、それでいて、何方にでもある、心の中の、思い出の扉をひとつひとつ開いて行く。

ただ、それは下に向かって海中深くというのがユニーク。

日本人に一番欠如しているのはこうした「クスクスっと笑わす」ユーモアのセンスだと思います。

しかし、海面上昇ですから、フィレンツェや島国の人たちには笑えない問題ではあります。

私が広島で本編を見て当時驚いた事のもう一つは本編が日本で、日本人によって作られたことでした。

もしやと思ってクレジットの文字等を見てもカナダのＮＦＢ等とは無関係で、「巨大ロボットもの」や「美少女もの」といったある意味「ガラパゴス化」した日本の商業アニメとは全く異なる、ファインアート（芸術）としてのアニメーションを見据えた優れた作家が日本独自にも確実に育っていることでした。

何回か前の「広島大会」に冨野由悠季氏が手塚治虫のご令息を担ぎ上げてパネルディスカッションを行い、「次回からこの大会を乗っ取る」云々を言われていましたが、以降それっきりです。
こうした大会で評価されるには新作を１本持ってきてコンペで入賞する事でしょう。
つまり「ガラパゴスアニメ」は世界レベルでは内容的には全く歯が立たないと言う事です。




今年（２０１８年）も８月２３日から、広島市、加古町のＪＭＳアステールプラザで、で第１７回広島国際アニメーションフェスティバルが開催されます。

テレビアニメや劇場版アニメとは一味違ったユニークな作品に沢山出会えますし、作家が個人で作ったアニメのＤＶＤ−Ｒが即売されていたりします。お近くの方は是非どうぞ。

http://hiroanim.org/

rev2.0：2018,08,07：用語訂正、一部加筆、★の数追加。