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プロフェショナルレビュー
自動車(本体) > フィアット > アバルト 124 スパイダー 2016年モデル > ベースグレード

外川 信太郎さん

  • レビュー投稿数:204件
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プロフィール神奈川県藤沢市生まれ、現在茅ヶ崎市在住の湘南中年。独身。少年期に5年間イギリス・ロンドンに在住していた事から、欧州車に興味を抱いたきっかけになった。慶応義塾大学卒業後、輸入車専門誌にてライターを始める。その後、育った英国に渡りレース活動な…続きを読む

エクステリア5
インテリア4
エンジン性能4
走行性能4
乗り心地4
燃費4
価格4
満足度4

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

オリジナリティ溢れるフロントマスクはボンネットも長く、古典的

曲線を多用したボディラインは、イタリアンスポーツの色気も満点

エキゾーストエンドは左右に振り分けられた4本出しを採用。迫力あるサウンドを奏でる

17インチガンメタリックホイールにブレンボ製の4ピストンキャリパーをフロントに装備

最高出力170PS/5500rpm、最大トルク250Nm (25.5kgm)/2500rpmを発生する

ロードスターをベースにしながらシートやステアリングなどオリジナルパーツを採用

“広島生まれのイタリア車”と称されるクルマが、アバルト「124 スパイダー」で
す。

基本的に輸入車執筆の仕事を専門とする筆者ですが、ベースとなるマツダ「ロード
スター」は、本当にアラフィフおやじには最高に試しめるクルマで、決して速くはない
ものの、快感を覚えるシフトフィールや、何の変哲もない片押しシングルキャリパー
ながら、まるで「ポルシェ」のブレーキ?と思わせる剛性感のあるフィーリングは、
欲しくなる一台でもあります。

では、最新の「ロードスター」をベースにアバルトが仕上げたアバルト「124 スパイ
ダー」は一体どれほどのものなのか、メーカーの広報車両を借りて試乗を敢行して
きました。

エクステリアでは、黙っていればマツダ「ロードスター」がベースであることが、分
からないほどオリジナリティ豊かなであり、前後に長いボンネットを採用し、オー
バーハングを切り詰めることでアジリティを強調するデザインとしています。アバル
トのよって、デザインされた大型エアインテークやリアディフューザー、リアスポイ
ラー、ウィンドウスクリーンは風洞実験をイタリアで行ったといいますから、製造が
日本というだけで、細部にわたりイタリアンデザインを楽しむことができます。ボ
ディサイズは4060×1740×1240mm(全長×全幅×全高)。ベースとなったマツダ
「ロードスター」と比べますと145mm長く、5mm広く、5mm高いサイズです。

オリジナリティ溢れるエクステリアと比べてしまうと、インテリアは、マツダ「ロー
ドスター」と大きな差は少なく、「アバルト」のエンブレムが貼られた専用ステアリ
ング、レッドの盤面を持つレブカウンター、そして、270Km/hまで刻まれたスピード
メーター、「アバルト」の刺繍が施されたバケットシートなどが専用品です。

6MT仕様には、デビュー時に試乗しましたが、今回はあえて6速AT仕様を選びまし
た。

着座位置の低い専用シートに腰を下ろし、眺める景色はマツダ「ロードスター」を払
拭することはできませんでしたが、エンジンを始動した瞬間、世界が一転。4本出し
のエキゾーストエンドからは、周囲の空気を震わすような野太いサウンドが響き、
「アバルト」のアツイ走りを予感させるものです。

試乗車は6速ATで1150kgの車体重量。直列4気筒1.4リッターマルチエアターボ
エンジン「3268」ユニットは、最高出力170PS/5500rpm、最大トルク250Nm
(25.5kgm)/2500rpmを発生することから、数字を見る限りでは、十分すぎるものと
いえます。

野太いサウンドを奏でるこのエンジンは、走り出すと低速域からトルクに溢れ、後方
からグイグイと押し出してくる。6ATのシフトフィールは非常に優秀でドライブレン
ジに放り込んでおけば、シフトショックもほとんどないままややドッカンターボのト
ルクに身を任せグイグイ加速していきます。

MTモードに切り替えればステアリングに装備されたパドルシフトで積極的なシフト
チェンジを楽しめレブリミットの6600rpmまで使い切ることができます。

乗り心地は、かなりハードな設定で、乗り心地のよい「ロードスター」とは一線を画
します。また、路面の轍にも敏感にステアリングが反応し、いくらAT仕様とはいっ
て「アバルト」チューンの血統を強く感じるものでした。

ワインディングでは、170PSのパワーと軽さが武器になってくれます。ブリヂストン
「POTENZA RE050A」(205/45 R17)との相性もよく、普通に流す程度では、タイヤ
のスキール音も聞こえる事なく、ヒラリヒラリとミズスマシのようにコーナーをクリ
ア。脱出の立ち上がりも迅速で、刺激的なエキゾーストノートを響かせ実に爽快。レ
ブリミットまで引っ張り、MTモードのパドルシフトを2速にシフトすると一瞬ホイー
ルスピンを起こすほどじゃじゃ馬ぶりを発揮してくれます。

サスペンションはビルシュタイン製で、フロントにダブルウィッシュボーン式、リア
に5アームのマルチリンク式を採用。このステアリングに伝わる安定性、車両挙動
などは、相当開発に時間をかけたことが容易に判断できました。
縦置きエンジンがフロントミッドシップに搭載され、50:50の重量配分のよさも、実
際に走ってみれば、なるほど納得!と思わずニンマリしてしまうものです。

また、フロントには「ブレンボ製」の4ピストンブレーキキャリパーが装備されま
す。マツダ「ロードスター」のブレーキも冒頭に述べたとおり非常にカッチリした
タッチで国産車の中では軍を抜いたフィーリングを味わえますが、少々、ワイン
ディングを走り込んだりしますと、やはり、「ブレンボ」製の4ピストンキャリパーの
本領が発揮され、常に変わらないガチッとした踏力が、安心感を与えてくれます。
サーキットなどに持ち込んだ際にはその差は歴然と出ることでしょう。

0-100km/h加速6.8秒、パワーウェイトレシオはクラストップの6.2kg/HPは伊達では
なく、トヨタ「86」以上の動力性能を有しております。

“広島産でイタリア車”という例のないアバルト「124 スパイダー」は、やはり「ア
バルト」。イタリア色、濃厚で、マツダ「ロードスター」にはない、大胆なクルマで
した。




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試乗

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自動車(本体) > トヨタ > C-HR 2016年モデル > S-T

森口将之さん

  • レビュー投稿数:228件
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プロフィールフリーランスジャーナリストの森口将之です。自動車を中心に、モビリティ全般を守備範囲としています。自動車については、ブランドやスペックにとらわれず、ユーザー目線でのレポートを心がけています。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務め、日本自動…続きを読む

エクステリア5
インテリア4
エンジン性能4
走行性能4
乗り心地4
燃費無評価
価格3
満足度4

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

ホイールはS-Tが17インチ、G-Tが18インチ

ボディカラーは写真のブルーを含め8色を用意

センターパネルを運転席側に傾けたインパネ

S-Tのシートはブラックのファブリック

やや閉所感はあるが十分な空間を持つ後席

欧州のトレンドであるダウンサイジングターボ

昨年12月に発売されたトヨタC-HRには、1.8Lエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド前輪駆動と、1.2Lターボエンジンの4WDがあります。ここでは横浜市で行われた試乗会でターボ車のS-Tグレードに乗った印象を綴ります。

ボディサイズは全長4360mm、全幅1795mm、全高1565mmで、同じTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・プラットフォーム)を使うプリウスの4WDと比べると、180mm短く、35mm幅広く、90mm背が高くなっています。ホンダ・ヴェゼルのライバルと言われることが多いですが、実際はフィットとプラットフォームを共用するヴェゼルよりやや大柄です。

フェンダーやリアコンビランプを大胆に張り出させつつ、前後バンパーの開口部形状、Aピラーとリアフェンダー立ち上がりのラインなど、個々の線や面を揃えたスタイリングは、煩雑にならずまとまりのあるデザインとなっています。

インテリアは、ドライバーを囲むようなインパネ、高めのセンターコンソールがスポーティな印象を醸し出すとともに、金属調のアクセントはマットなチタンカラーとするなどして、このクラスの国産車では異例に大人っぽい仕立てであることも感心しました。さらにスイッチ類はどれも扱いやすいうえに、スタイリングのベースにもなったダイヤモンドをモチーフとしていて、遊び心も感じます。

窓枠に仕込んだリアドアのハンドルは予想以上に使いやすいものでした。後席は窓が小さめなので閉所感はあるものの、身長170cmの自分なら楽に過ごせる広さがあります。荷室は床が高めではありますが奥行きは余裕があり、デザイン重視でありながら開口部もしっかり取ってありました。

1.2LターボエンジンとCVTの組み合わせはオーリスと同じです。車両重量は1470kgと、4WDということもありハイブリッド車よりやや重く、加速は力強さを感じるほどではありません。ただ小排気量だけあって吹け上がりは軽快であり、サウンドは控えめながら心地よい音質で、適度にスポーティな印象も得られました。

試乗会で用意されたのは下ろしたての新車であり、乗り心地は低速での硬さが気になったものの、速度を上げていくにつれ揺れが少ない落ち着いたフィーリングに変わっていきます。大きなショックに出くわしてもガツンと来ることがなく、逆に過酷な状況になるほど真価を発揮するタイプで、ヨーロッパ車を思わせるチューニングです。

ハンドリングは腰高感はなく、同クラスのヨーロッパ車のハッチバックに近い素直な走行感覚の持ち主でした。4WDはプリウスとは異なりメカニカル式で、通常走行路でもある程度後輪に駆動力を配分する設定であり、コーナー出口でアクセルを踏み込むと旋回を強めながら立ち上がっていく、後輪駆動車に近い挙動が味わえました。

C-HRのガソリン車は4WDのみということで、ハイブリッド車との価格差は約13万円に留まります。小排気量ターボエンジンならではの加速感に加え、4WDならではのハンドリングの楽しさもあるので、ヨーロッパ車の走りを好む人に向きそうです。個人的には欧州での主力でもあるMTの2WD車があれば、価格も抑えられるのでより注目されるのではないかと思いました。

レビュー対象車
試乗

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自動車(本体) > フォルクスワーゲン > ティグアン 2017年モデル > TSI Highline

外川 信太郎さん

  • レビュー投稿数:204件
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プロフィール神奈川県藤沢市生まれ、現在茅ヶ崎市在住の湘南中年。独身。少年期に5年間イギリス・ロンドンに在住していた事から、欧州車に興味を抱いたきっかけになった。慶応義塾大学卒業後、輸入車専門誌にてライターを始める。その後、育った英国に渡りレース活動な…続きを読む

エクステリア4
インテリア5
エンジン性能4
走行性能4
乗り心地4
燃費4
価格4
満足度4

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

直線的でシャープなラインが特徴的。

抑えられた車高がスポーティな印象を与える。

大型のLEDターンシグナルは視認性がピカイチ!

ハイラインではフルLEDヘッドライトを採用している。

1.4リッターエンジンでも十分上質でパワフルだ。

ディスプレイ式モニターメーターは新世代のクルマという印象。

フォルクスワーゲンの中堅SUVである「ティグアン」。2008年に初代が日本に導入され、地味な存在ながらも、愛され続けたクルマだった。

そんな同社「ティグアン」が8年ぶりにフルモデルチェンジを実施し、2016年に欧州で発売、日本国内では、2017年1月中旬より販売が開始されました。

今回は、メーカーの広報車両を試乗会&個人的にお借りして試乗を敢行してきました。

フォルクスワーゲンが昨今導入を進めているモジュールコンセプト「MQB」を採用しており、ボディサイズは4500×1840×1675mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2675mmと初代に比べ一回り大きくなりました。(全長で70mm長い4500mm、全幅では30mm広い1840mm)

しかし、現行「ゴルフ」同様にスポーティな印象に感じるのは、車高を35mmも抑えられたためであります。
初代の丸みを帯びたボディラインから一新、サイドラインにエッジを効かせ、ピシッと締まった印象となり、精悍さを与えたクルマに仕上げました。

初代モデルはパワフルな2.0リッターターボエンジンと1.4リッターターボ+スーパーチャージャーの2本立てでしたが、フルモデルチェンジを行った新型「ティグアン」では、例のダウンサイジング化により、エンジンは1本に絞られ、直列4気筒DOHC 1.4リッターターボエンジンのみとなりました。このエンジンは、ユニット形式に変更があり、「CTH」型から「CZE」型となりました。(ボア、ストロークの変更)
最高出力は150PS/5000-6000rpm、最大トルク250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpmを発生します。

乗り込みますと、まず目に飛び込んでくるのは、「TSI ハイライン」に装備される「アクティブインフォディスプレイ」であり、12.3インチ(1440×540ピクセル)のTFT液晶ディスプレイにカーナビの地図やドライバーアシスタンス機能など各種情報を表示できる。また、メーターもこれまで見慣れた「クラシック」表示や、小さく左右に振り分けナビゲーションをメインにするなど、ディスプレイなので、極端な話何でも表示可能という訳です。

走り出しますと、1.4リッターエンジンは、実に上質な走りをします。回転に雑なところが一切なく、滑らかに回転を上げ、6速「DSG」はまるで「トルクコンバーター式」のATのようなシフトショックがなく、切れ目のないシフトチェンジを行います。

新型「ティグアン」の車両重量は1540kgと決して軽くはありませんが、1.4リッターターボエンジンで十分事がたります。街中での発進加速もたっぷりとしたトルクで、交通の流れを自然にリードする事など朝飯前。いかなるシーンでも、シャカリキにならなくても、実にスムーズに速度を持ち上げてくれます。

また、上質感は、エンジンノイズ、ロードノイズの静粛性の高さにも関係しており、剛性の極めて高いキャビンは、空調とカーラジオが作動していれば、余計な音はほとんど聞こえないほどです。

「気筒休止システム(ACT)」「ブレーキエネルギー回生システム」「アイドリングストップ」など同社の持つエンジンテクノロジーを全て投入したと言え、省燃費性も向上。JC08モード燃費は従来モデルの14.6km/Lから16.3km/Lとなり、燃費が悪いと思われがちなミディアムSUVとしてはトップクラスと言える。

ハンドリングは軽快で、SUV特有の鈍感な印象は一切ありません。ロックtoロックも3回転弱であることから、高速道路ではクイックなステアリングとどこまでも走っていけそうな安定性、そして静粛性の高さは特筆レベル。
路面をしっかり捉え、どっしりとした操舵感は速度を上げるほど実感でき、追い越し加速も上質感を失わないまま、スーっと加速をしてくれます。

今回導入されたティグアンはすべて前輪駆動車で、四輪駆動の「4MOTION」は導入時期が未定ということですが、最低地上高は、初代モデルと変わらないクリアランスを確保しており、前輪駆動ながら格好だけのSUVではなく、未舗装道路などの走行でも威力を発揮してくれます。

新型「ティグアン」は“つながるSUV”を謳っており、カーナビの検索機能が飛躍的に向上するだけでなく、スマートフォンやWi-Fiルーターを介して優れたコネクトビリティを発揮し、必要な情報を用意に得ることができます。

最新の技術をまとって登場した新型「ティグアン」。乗ってみて分かりましたが、装備の充実した「TSI ハイライン」がお薦めグレードと言えます。

レビュー対象車
試乗

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自動車(本体) > トヨタ > ヴォクシー ハイブリッド 2014年モデル > HYBRID ZS

高山正寛さん

  • レビュー投稿数:29件
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プロフィールこの度プロフェッショナルレビューを担当させていただきます高山正寛(たかやませいかん)です。1959年生まれで自動車専門誌で20年以上に新車とカーAV記事を担当しフリーランスへ。途中5年間エンターテインメント業界でゲーム関連のビジネスにも関…続きを読む

エクステリア5
インテリア4
エンジン性能3
走行性能4
乗り心地4
燃費4
価格3
満足度4

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

フロント大型バンパーなどエアロパーツにより押し出し感の強いデザインを実現しました

サイドからリアにかけても専用のリアスポイラーや大型バンパーなどを装着します

本革巻きスポークのステアリングホイールや専用のオプティトロンメーターを装備します

基本システムはプリウスα(ニッケル水素電池仕様)と同じものを搭載します

装着される205/55R16タイヤには専用の鍛造アルミホイールを装着し足元を引き締めます

先進安全装備は「Toyota Safety Sense C」を搭載。本音は上位の“P”が欲しいです

トヨタのミドルクラルミニバンであるノア/ヴォクシー/エスクァイア。少し前にはなりますが、2016年1月に一部改良&追加されたヴォクシーの「ハイブリッドZS」に一般道から高速道も入れて約400km試乗しました。

現行モデルは2014年1月にフルモデルチェンジを行っており、それなりに時間は経過していますが、試乗時にこのクラスでは唯一“フルハイブリッド”を持っている強みは圧倒的に強く、2016年4月から2017年3月までの販売台数でもベスト10をキープしています。

発売後ディーラーで話を聞くとよく出てくるのが「エアロ仕様のZSや特別仕様車の煌(きらめき)は人気ですが、やはり本当に欲しいのはエアロ仕様のハイブリッドモデル」ということでした。まさに2014年1月発表時点ではハイブリッドモデルはヴォクシーの場合、標準ボディ7人乗り(5ナンバー)の“V”と“X”しか設定がありませんでした。その点でも2016年の一部改良でハイブリッドモデルにエアロ仕様である“ZS”に設定したことは顧客としては「待望であり必然」だったと思います。

もちろんフルモデルチェンジからちょうど2年、販売会社の多くが迎える3月末の決算、そして何よりも当時このクルマがフルモデルチェンジ時した頃には末期となっていた日産・セレナやホンダ・ステップワゴンが後に登場する前に準備(一定台数を売り上げるなど)をしておく絶妙のタイミングだったと言えます。

さて待望のハイブリッドZSですが、やはりガソリン車のZS同様にエアロパーツがビシッと決まっています。基本造形はガソリン車と変わりませんが、フロントグリル内/サイド/リアに設定されたハイブリッド車専用のシンボルマークだけでなく、16インチアルミホイールが専用品が装着されています。

個人的にはガソリン車のアルミホイールのデザインは気に入っていますが、ハイブリッド車は何と“鍛造”のアルミホイールが装着されています。バッテリーやモーターなどで車両重量が増えるハイブリッド車からすれば燃費性能を向上させるためになるべく重量増は抑えたいはずです。ZSはすでに専用エアロパーツも装着されているのでこの部分も含めより軽量化につながる工夫が求められます。

となると後は足回り。元々強度に優れた鍛造アルミホイールは軽量化も大きなポイントです。それでも普通“鍛造”を使うことはコストもかかり当然車両価格のアップにも関わってきます。それでも高価な鍛造アルミホイールを採用した点にはトヨタのこだわりが感じられますし、ZSと単純比較しても約20kg増で車両重量を抑えたのは見事だと思います。

インテリアに関してはガソリン車と違いは多くはありません。ハイブリッド車でも低床化されていることで乗降性も良好です。この点は後から発売された日産・セレナより低く設定されており、子供や太ももを高く上げることが難しくなっている高齢者にもありがたいです。

今回の一部改良でもうひとつ注目すべき点は先進安全装備である「Toyota Safety Sense C」が設定されたことです。トヨタの先進安全装備はレーダークルーズコントロールや歩行者検知機能付きのプリクラッシュセーフティシステムを持つ上位の“P”が存在しますが、ヴォクシーには残念ながら“C”が搭載されています。

「残念」と書いたのは機能面の不足があります。まずヴォクシーに関して言えばハイブリッド車には“C”が標準装備ですが、ガソリン車の下位グレードにはメーカーオプションとなっています。現在これだけ進化している先進安全装備であればすべてのトヨタ車には“P”が全グレード標準装備であると考えるからです。

それでもこれにより色々なシーンでも「ヒヤリハット(突発的な事故などの一歩手前)」を気づかせるのには効果はありますし、実際の走行時、特に信号停車時に先行車が発進したことを知らせる告知機能は結構役立ちます(本人が気がつかないことが多いのは問題ではありますが・・・)。

ビジネス的な立場や構造的に約2年の一部改良で“P”を入れるのは難しいことは否定しませんが、個人的には後述する理由などからもそう遠くないうちに“P”へ切り替えるのではないかとも思っています。

ハンドリングに関してはこれまでのハイブリッド車とそれほど大きな違いは感じられません。これは良い意味で元々低床化やこのクラスとしては重心も低めに設定していることもあり、これだけ背の高いミニバンでありながら恋即したコーナリング時の揺り戻しもかなり抑えられており、高速走行時も比較的ゆとりがあり静粛性の高さも魅力です。

ZSはタイヤサイズが大きめですが乗り心地の良さもキープしていますし、コーナリング時の接地感も良好です。少しリアサスペンションは突っ張るようなイメージもありますが、乗車人員や荷物を増やすことで感覚は大分変わってきますので現状ではいいセッティングだと思います。

ただひとつだけ文句を言わせてもらえば、DSC(トヨタで言えばS-VSC)の介入はもう少し早くても良い気がしました。家族を乗せるミニバンで乗車人数や荷物の量も日々変わるというクルマの性格上、ハードなコーナリングというのはあまりイメージできません。それでも操舵が遅れた際のS-VSCの介入は少し遅れ気味に感じますし、安全のマージンを高めるためにもS-VSCの作動はもう少し早めに“安定志向”にしても良いと感じました。

気になる燃費はさすがフルハイブリッドです。カタログ数値は23.8km/Lですが、前述したように約400km走って17.8km/L。カタログに対し約75%ですから十分だと思いますし、ほぼ同等のシステムを搭載するプリウスαより150kg前後重いのにこれだけの数値だが出せるのはたいしたものです。

ここまでは販売好調だったヴォクシーですが、いよいよライバル各社もフルハイブリッド(ホンダ)やe-Power(日産)を導入するという噂もあります。先進安全装備では他社が一歩リードしているゆえに今後はこの部分を磨き上げ、商品力を上げることでまだまだ戦えるはずです。

レビュー対象車
試乗

参考になった5

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自動車(本体) > トヨタ > C-HR 2016年モデル > G-T

松下宏さん

  • レビュー投稿数:512件
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プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む

エクステリア4
インテリア5
エンジン性能4
走行性能5
乗り心地4
燃費1
価格3
満足度3

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

2017年1月に発売されたC-HRは、トヨタが プリウスに採用したのと同じTNGAと呼ぶ新世代プラットホームをベースに開発した比較的コンパクトなサイズのSUVだ。

コンパクトと言っても全幅が1750mmもある堂々たる3ナンバー車なのだが、全長は4360mmにとどめられている。ヴェゼルに対して+75mmと比較的短く抑えられているから、世界的に見ればいろいろなクルマがどんどん大きくなり続ける今の時代、コンパクトというか手頃なサイズのSUVということになる。

C-HRには地元のディーラーで試乗車を借り出し、時間をかけてじっくりと試乗した。C-HRにはハイブリッド車とダウンサイジング直噴ターボ仕様の2種類があるが、試乗車はターボエンジンを搭載した上級グレードのG-Tだ。

ちなみにC-HRのハイブリッド車はFFのみの設定で、直噴ターボ車は4WDのみの設定となる。プリウスハイブリッドには4WDの設定があるが、限定的な4WDシステムなのでSUVの4WDとしては通用しないためだろう。

外観デザインはトヨタとしてはかなり思い切った感じである。アニメの世界から飛び出して来たような近未来感覚のデザインだと思う。個人的にはこういうデザインは嫌いではなく、妙に丸くてのめっとしたデザインに比べたらずっと良いと思う。

ただ、前から見ても横から見ても後ろから見ても、何とも面の数が多すぎて煩わしいような印象を受けてしまう。メリハリが効きすぎてエッジも際立ち過ぎる印象なのだ。もう少しすっきりしたデザインにできないものか。

インテリアも斬新で先進感のあるデザインに仕上げられていて、これはこれで良いと思う。造形だけでなく見た目の質感も上々のレベルにあり、気分良く運転できると思う。

後席の居住空間はあまり広くない上に、後席用のドアは把手ピラー部分に隠されるようにして高い配置に配置されていて操作がしにくい。ドアの開口部も小さくて、乗降性はあまり良くない。窓も小さくて乗り込むと窮屈なところに押し込まれた感じになる。デザインを優先したことのしわ寄せがきた形である。前席優先で後席にはあまり人を乗せない人が選ぶクルマと割り切って考えるべきだろう。

搭載エンジンは8NR-FTS型で、直列4気筒1.2Lの直噴ターボ仕様だ。これは先にオーリスに搭載されたのと同じエンジンだが、オーリスでは欧州仕様のエンジンをそのまま搭載していたために無鉛プレミアムガソリンだったが、C-HRでは日本向けに無鉛レギュラーガソリン仕様とされている。

動力性能の数値は85kW/5200〜5600rpm、185N・m/1500〜4000rpmで、無鉛プレミアムガソリン仕様のオーリスと全く変わらないのだから、レギュラーで当然という感じだ。

C-HRのG-Tは駆動方式が4WDということもあって車両重量が1470kgとやや重く、また組み合わされるトランスミッションが無段変速のCVTということもあって、走りは特に元気が良いという感じではない。同じエンジンを搭載するオーリスは1300kgで格段に軽いから、けっこう良く走る印象だったが、C-HRでは重さが響いている印象がある。

ただトランスミッションには7速シーケンシャル機構を備えるほか、スポーツ/ノーマル/エコのドライブモードが選択可能だから、スポーツモードを選んで積極的にレバーを操作すればそれなりの元気の良さは得られる。そうなるとパドルシフトが欲しいという気持ちにもなるが、それは装備されていない。

コーナーの立ち上がりなどでは、電子制御式の4WDシステムが積極的に後輪側に駆動力を伝えるらしく、気持ち良く加速が伸びていった。

C-HRがデキの良さを感じさせるのは足回りだ。SUVボディの4WD車で最低地上高が155mmと心持ち高いので、操縦安定性の面で不利になるかと思ったら、想像していた以上に安定性に優れた走りを実現した。コーナーでの安定性の高さなど、引き締まった感じの乗り味はプリウスを上回る印象であり、良く煮詰められた足回りだと思う。

タイヤはSUV用のタイヤではなくポテンザRE050Aというスポーツタイヤで、それも225/50R18インチサイズが装着されていた。18インチの大径タイヤを履く割には妙な突き上げもなく、乗り心地の上々という印象だった。

安全装備は上級仕様のトヨタセーフティセンスPが装備されている。ミリ波レーダー+単眼カメラで人間も見分けるタイプだ。C-HRはこれで良いが、トヨタは早くほかの車種に搭載するセーフティセンスCを廃止してPに統一すべきである。

C-HRのG-Tにとって弱点となるのは燃費だろう。車両重量の重さもあってダウンサイジング直噴ターボの割には燃費があまり良くなくて15.4km/Lにとどまっている。ハイブリッド車の燃費が30.2km/Lであることを考えると、ほとんど半分しか走らない。C-HRの売れ行きでハイブリッド車が大半を占めているのは燃費によるところが大きいだろう。雪国のユーザーなど、本気で4WDを必要とするユーザーでないと選びにくいのがC-HRのガソリン車である。

レビュー対象車
試乗

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自動車(本体) > スズキ > スイフト 2017年モデル

松下宏さん

  • レビュー投稿数:512件
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プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む

エクステリア3
インテリア4
エンジン性能4
走行性能4
乗り心地4
燃費4
価格4
満足度4

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

RSは標準車に対してスポーティな外観を持つ

インテリア回りの質感はクラスを超えた印象

1.2Lエンジン+モーターのマイルドハイブリッド

スイフトのDNAを継承した部分もある外観デザイン

ラゲッジスペースも必要十分なレベル

1.0Lターボの走りはそれなりにパワフルだが

スイフトは2000年に軽自動車のプラットホームをベースに作られた初代モデルが存在するが、実質的には2004年に発売された2代目モデルから始まったと考えても良い。世界市場に通用するクルマ作りを目指し、プラットホームから新開発したのが2代目スイフトだったからだ。

2016年12月に発表、2017年1月から発売されたのは実質的に3代目となる4代目で、改めてプラットホームを新設するなど、気合の入ったクルマ作りがなされている。

スイフトには、スズキが幕張ニューオータニをベースに開催したメディア関係者向け試乗会に出席し、用意された広報車両に試乗した。試乗グレードはガソリン車のRStとハイブリッド車のRSの2モデルだった。

外観デザインは、スズキに言わせればスイフトのDNAを継承した存在感のあるデザインといことになるが、際立って特徴的かといえば必ずしもそのような印象ではない。むしろ世界にさまざまな個性を備えたコンパクトカーがある中で、競合車の中に埋もれてしまわないかと思われるようなところがある。

内装はコンパクトカーとして水準に達する質感を備えていて、メーターパネル中央の液晶画面にはいろいろな表示が選べるほか、さまざまな走行情報を同時に表示することできる。相当に使い勝手の良いクルマでもある。シートはしっかりした座り心地でホールド性を高める改良も加えられている。

インテリア回りについて注文を付けるとしたら後席の居住性で、競合車のひとつであるフィットが広い後席を持つのに比べるとかなり狭い印象になる。ただ、前席重視の空間設計はスイフトの個性ともいうべきもので、最初から後席に人を乗せることを重視していない。後席に乗せたいならソリオなどを選んで欲しいというとこだろう。

RStに搭載されるエンジンは直列3気筒1.0LのDOHC直噴ターボ仕様だ。先に発売されたバレーノに搭載されるのと同じK10C型だが、バレーノでは無鉛プレミアムガソリン仕様になっていたのが、スイフトでは無鉛レギュラーガソリン仕様とされている。バレーノのときにはさんざん文句を言ったが、国内で売ろうと思ったら今どきプレミアムガソリン仕様はあり得ないだろう。

ただし、バレーノが82kW/160N・mの動力性能を発生するのに対し、レギュラーガソリン仕様になったスイフトの動力性能は75kW/150N・mとやや劣る数字になっている。これは止むを得ないところである。

エンジンは最近の直噴ターボ仕様らしく、低回転域からターボが効きだす設定。その分高回転域での伸びには物足りなさがあるかも知れないが、そんな走りが必要なシーンはごく限られたシチュエーションだけだ。低回転域から常用回転域あたりのトルク感はとても気持ちが良いもので、1tを切るスイフトのボディをけっこう元気良く走らせることができる。6速ATも上々の変速フィールだ。

1.0Lターボはハイブリッドに比べると燃費が悪いのが難点だ。またFF車だけラサラインナップされていない。燃費はハイブリッドがマイルドハイブリッドとはいえ27.4km/Lを達成しているのに対し、RStは20.0km/Lにとどまるからだ。それなりに元気の良い走りが可能とはいえ、この燃費の差は大きい。エコカー減税のレベルに届いていないのは辛い。

そう遠くない将来に、さらにスポーツ度を高めたスイフトスポーツが登場してくるはずだ。そのことを考えると、スポーツモデルが欲しいならスイスポを選べば良いので、今の時点でRStを選ぶ理由はそう多くないように思う。まあスイスポはRStよりもずっと高くなるだろうから、RStがちょうど良いと考えるユーザーがいるかも知れないが。

もうひとつの試乗車であるハイブリッドのRSは、なかなか具合の良いクルマだった。RStがけっこううるさいクルマであるのに比べ、ハイブリッドは静かでスムーズな走りが可能。走りの質感という観点から考えるとRStよりハイブリッドのほうが断然優位に立つ。

ハイブリッドの搭載エンジンは直列4気筒1.2LのK12C型。デュアルジェットにより67kW/118N・mの動力性能を発生する。これにモーター機能付き発電機のISGとリチウムイオン電池を組み合わせて搭載する。マイルドハイブリッドなのでモーターによるアシストはほんのわずかでしかないが、発進加速のときなどにアシストが加わるので、並の1.2Lエンジンを超えた走行フィールが得られる。しかも静かで滑らかである。

トランスミッションは無段変速のCVTだが、パドルシフトを備えていて、マニュアル車感覚の走りを楽しむこともできる。

新型スイフトが全体に軽快な走行感覚が得られるのは、ひとつは新プラットホームにより120kgに達する大幅な軽量化が図られたことが理由だろう。新型スイフトは全車が1tを切る車両重量となっている。もうひとつはRS系についていえば、ヨーロッパで磨き込まれた足回りを採用していることだ。日本よりも速度域の高いヨーロッパでの走りを基準にすることで、乗り心地をスポイルすることなく優れた操縦安定性を発揮するクルマに仕上げられている。これはターボとハイブリッドに共通する特徴だ。

安全装備の充実化も大きなポイントだ。単眼カメラ+赤外線レーザーのデュアルセンサーブレーキサポートという新しい自動ブレーキを採用している。軽自動車などに採用するデュアルカメラブレーキサポートとどちらが良いかは微妙なところだが、人間も見分けて満足できる性能を備えていると考えていい。

スイフトには欧州での販売も考えてか、アダプティブクルーズコントロール用のミリ波レーダーも備えている。本当なら、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた方式にしたほうが良かったのにと思うが、どうやら自動ブレーキとクルーズコントロールの要素技術は、それぞれが別に開発されていたため、このような設定になったようだ。

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試乗

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自動車(本体) > BMW > 7シリーズ セダン プラグインハイブリッド 2016年モデル > 740e iPerformance M Sport

松下宏さん

  • レビュー投稿数:512件
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プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む

エクステリア4
インテリア5
エンジン性能5
走行性能4
乗り心地5
燃費4
価格3
満足度4

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

BMWのフラッグシップモデルである7シリーズに追加された740eは、BMWが各シリーズモデルに展開中のプラグインハイブリッド車だ。740eにはBMWジャパンが江東区青海のBMWグループ東京ベイをベースに開催したメディア関係者向け試乗会に出席し、用意された広報車両に試乗した。試乗グレードは740e iパフォーマンス Mスポーツだ。

外観デザインやインテリアの仕様などは7シリーズのもので、大柄なサイズのボディは堂々たる存在感を主張する。日本で使うには少々大きすぎるボディだが、BMWラインナップの頂点に立つ7シリーズとあっては、それも仕方ないところである。インテリア回りの高級感もBMWのフラッグシップモデルにふさわしいものだ。

740eはエンジンとモーターを組み合わせて走るプラグインハイブリッド車なので、エンジン単体については必ずしも強力なものを必要としない。でも7シリーズに搭載されるのが直列4気筒2.0Lの直噴ターボ仕様エンジンであるというと、さすがにちょっと驚かされる。

現在、BMWのいろいろな車種に搭載されていて、必要十分な性能を持つことで定評のある2.0Lエンジンとはいえ、それが7シリーズ用に搭載されるとは思わなかった。

その4気筒2.0Lエンジンの動力性能は190kW/400N・mの実力で、3シリーズなどに搭載される2.0Lエンジンに比べ数段優れた動力性能を備えている。これに8速ATに組み込まれたモーターが加わり、モーターは83kW/250N・mを発生する。

システムとして発生できる動力性能は単純な足し算にはならず、240kW/500N・mにとどまるが、500N・mというのはV型8気筒5.0Lエンジンに相当するトルクだから、相当なものである。V型6気筒3.0L+インタークーラー付きターボを搭載する740iを上回る動力性能である。

このトルクフルなパワートレーンによる動力性能は、走りは静かでスムーズかつ力強く、とても好ましい印象だった。大柄なボディに加えてリチウムイオン電池を搭載することなどによって車両重量はけっこう重く、2110kgに達しているほか、前後重量配分も後ろが1120kgと後輪寄りになっているが、重さをネガとして感じさせないような走りを見せた。

乗り心地もなかなか好ましいものだった。試乗車がMスポーツだったこともあり、標準車に対してやや引き締まった感じの乗り味になっていた。これもまた極めて好感度の高い仕上がりである。

740e iパフォーマンスは9.2kWhのリチウムイオン電池を搭載することで、JC08モードで走行すると42kmまでのモーター走行が可能とのこと。またモーター走行の最高速は140km/hとされている。ユーザーの走行パターンによってはガソリンを使わずに電気だけで走れる日が多いかも知れない。高速クルージング中にもアクセルを抜けばモーター走行に入れるのも良い点だ。

またプラグインハイブリッド車として外部からの充電が可能なほか、走行中に最大100%まで充電できるので、電気をうまくマネジメントして走らせたい。

高級車なので価格は決して安いわけではなく、一般の人には関係のない1000万円超の世界になるが、それでも7シリーズとしてはびっくりモノの低価格が設定されている。搭載エンジンが4気筒2.0Lということもあってか、ベースグレードは直列6気筒の3.0Lターボを搭載する740iの1225万円より安い1169万円の設定なのだ。

BMWもかつてはハイブリッド車を最上級グレードとして設定していたが、今回の740e iパフォーマンスは7シリーズのエントリーグレードに位置付けられている。

なお、試乗車はMスポーツのため本体価格が1240万円の設定で、これに200万円ほどのオプションが装着されていた。

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試乗

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タイヤ > ブリヂストン > POTENZA RE050A 205/45R17 84W

外川 信太郎さん

  • レビュー投稿数:204件
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プロフィール神奈川県藤沢市生まれ、現在茅ヶ崎市在住の湘南中年。独身。少年期に5年間イギリス・ロンドンに在住していた事から、欧州車に興味を抱いたきっかけになった。慶応義塾大学卒業後、輸入車専門誌にてライターを始める。その後、育った英国に渡りレース活動な…続きを読む

走行性能5
乗り心地3
グリップ性能5
静粛性4
満足度5

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

製造元のブリヂストンのロゴも大きく刻印

POTENZAのロゴは世界基準の為、最も目立つデザイン

RE050Aのロゴも大きく主張している

高いグリップ性能を誇る接地面

接地面2

45%扁平としては、リムガードは大きく張り出している印象

知人が乗る欧州「Cセグメント」スポーツハッチのタイヤが3年目を迎え、新調したいという事で、その昔タイヤのテスター経験のある筆者が相談を受け、装備したのが「POTENZA RE050A 205/45R17 84W」です。

タイヤが一皮向けた頃を見計らい、市街地、圏央道の全開通区間、箱根のワインディングを走って参りました。

【乗り心地】

市街地走行の舞台は主に筆者が在住する神奈川県内の一般道です。工事箇所も多く路面の継ぎ目が目立ったりと条件は良くはありません。最初に感じたのは、交換前の「コンチネンタルタイヤ」と比べて、ステアリングの切り返しが重くなったという印象です。このように記すとネガティブな印象ですが、ステアリングに伝わる剛性感が向上したといえば、納得いただけるでしょう。

市街地での乗り心地は正直「硬い」とハッキリ言えます。40Km/h前後で流れる幹線国道では、道路工事の痕跡を踏みますと、バタンとショックがキャビンに伝わり、後部座席に置かれたティッシュペーパーの箱が跳ね上がるほど。(テスト車両は、元々純正で足回りが硬いユーロハッチです。)オーナーも「妻と子供に文句を言われるかな?」と心配していました。実際には、そこまで気にするレベルではありません。

また、凹凸にも弱い部分があり、水道工事後の継ぎ目では、それに合わせステアリングが持っていかれる事もありました。高い剛性を誇る「POTENZA RE050A 205/45R17 84W」ですので、やはり轍の影響を受けるのは仕方がないことでしょう。

またアスファルトの状態のよい深夜2時の「圏央道」を筆者の地元である「寒川南IC」からのり、速度を上げますと乗り心地は非常に良好で、橋脚の継ぎ目などを乗り越えても遠くで「タン、タン」と響くだけで、実にフラットな乗り心地に感銘を受けました。「海老名ジャンクション」を超えると闇の中から急に400Rほどの高速コーナーがあらわれ、かなりのオーバースピードで進入しましたが、車両の姿勢が乱れることもなく、オンザレールの感覚でクリアできるあたりはさすが多くの高性能欧州車に純正採用されるだけのことはあります。

ステアリングの操舵感もクイックになり、レーンチェンジの際にはそれを大きく感じることができます。日本国内での高速道路にて法定速度+で流すくらいでは、タイヤの性能が大きく勝っており、もしもの時の危険回避なども含め、終始安心して走ることができます。

ただ、80Km/hあたりでは、道路上に雨水の貯まりにくい排水性に優れた「高機能舗装」(最近開通した高速道路では多く採用。)では、特にロードノイズが高まり、長時間では、気になる人もいることを付け加えておきます。

【グリップ性能】

さすが世界の名タイヤの「POTENZA」だけの事はあります。それを実証するため、早朝の箱根に入り、箱根湯本駅手前の信号を左に折れ、旧街道を登って行きます。(アラフィフの筆者も今から20年以上前には、散々通いつめたものです。)

交通量の少ない時間を選んだためクルマは皆無。いよいよ「七曲り」最初のコーナーに進入。まずは抑え気味の運転でしたが、タイヤの剛性が高く、スキール音も聞こえてきません。さらに進入速度をあげて進入しますとさすがにスキール音が早朝の峠道に響きますが、クルマは、面白いように左右へ鼻先を変えヒラリ・ヒラリとコーナーをクリアしていきます。

限界領域まで攻め込んでアクセルから足を浮かせますと、オーバーステアが発生。通称「タックイン」状態(前加重になり、リアが流れる事もあります。)になっても、コントロール性は高く、車両の姿勢修正は容易です。

やはり、運転を楽しむというコンセプトの元、市販の「POTENZA」は開発されているのであると感じました。



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自動車(本体) > スズキ > スイフト 2017年モデル > HYBRID RS

高山正寛さん

  • レビュー投稿数:29件
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プロフィールこの度プロフェッショナルレビューを担当させていただきます高山正寛(たかやませいかん)です。1959年生まれで自動車専門誌で20年以上に新車とカーAV記事を担当しフリーランスへ。途中5年間エンターテインメント業界でゲーム関連のビジネスにも関…続きを読む

エクステリア4
インテリア4
エンジン性能4
走行性能5
乗り心地4
燃費5
価格5
満足度5

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

縦型基調のランプや大型グリルの採用、軽快かつ伸びやかなデザインが魅力です

イメージカラーのひとつである「バーニングレッド」。発色にもこだわった新技術を採用

メーター、空調吹き出し口、エアコンスイッチは円筒をモチーフにデザインしています

単にサポート性が高いだけではなく、しっかりと座らせるシートの出来は見事です

RSには185/55R16のブリヂストン製のエコピアEP150を装着。アルミホイールも標準装備

マルチインフォメーションディスプレイはエネルギーモニターなど多彩な表示が可能です

2016年12月27日に発表したBセグメントのコンパクトカーである「スズキ スイフト」。その中でも注目の高い「ハイブリッドRS」に市街地から高速道路を中心に試乗しました。

日本でも人気のスイフトですが、そもそもこのクルマは元々がグローバルマーケットを狙って開発、つまり「世界戦略車」という位置づけです。

その主戦場でもある欧州で鍛え上げられた旧型の特別仕様車である「RS」はしなやかかつ正確なハンドリングが魅力でしたが、新型はそもそもプラットフォーム自体を最新の「HEARTECT(ハーテクト)」と呼ばれるものに大刷新しました。ネーミングこそ、スイフトが最初の採用になりますが、この次世代軽量プラットフォームはアルトに採用済みのK(軽)セグメント用、ソリオに採用済みのAセグメント用、そして今回のスイフトやバレーノに採用されたBセグメント用の3種類設定されており、今後はこのプラットフォームでクルマ作りを行っていくことが2014年に発表されています。

燃費やハンドリングを向上させるための手段のひとつとして軽量化が挙げられますが、新型スイフトは従来モデルとの比較でなんと120kgも軽くすることができました。これはこのクラスとしては驚異的なことです。

軽量化はクルマが小さくなればなるほど難しくなります。1g減らすのに開発側は日々苦労しているのに一気に120kgとは驚くしかありません。

エクステリアはひと目でスイフトとわかるデザインですが、ホイールベースの20mm拡大やライト周りの造形などを新たに作り込んだことで、より伸びやかなデザインに変化しました。

インテリアも含めた室内空間は大きく進化しています。Bセグメントのクルマとしては必要十分であったこれまでのスイフトですが、やはり「コンパクトカー」というセグメントでひとくくりにされてしまうと後席やラゲージルームの広さではライバルに差を付けられていたのが現実です。

しかし前述した新プラットフォームの採用等によりこれらのネガティブな部分をきちんと仕上げてきました。

先に後席の話をしてしまうとリクライニング機構を軽量化のために廃止してしまったのは残念ですが、フロントシート下への「足入れ性能」も含め、後席は大人2人がきちんと座れる空間を確保。そして何より旧型では狭かったラゲージスペースを奥行きで75mmも拡大、メジャーを使って測ってみるとこのクラスのベンチマークとも言えるホンダフィットと奥行きはほぼ同等、左右の幅では負けてしまいますが、旧型より55Lも容量が増えたことで実用性は一気に向上しています。

前席はシートにかなりお金がかかっています。スズキの開発陣からも最も高密度のウレタンの使用や身体の大きな欧州のドライバーが実際座ってみてショルダー周りのサポートが不足している指摘を受け、何度も作り直したそうです。正直に言えばリアシートの材質等の改良はありませんが、フロントは座った後に身体が沈みこみながらその先でしっかりサポートする「芯のある」仕上がりになっています。このフロントシートはこのクラスでもトップクラスの出来だと感じました。

またインパネのナビ&オーディオ用パネルをドライバー側に5°オフセットしているのは非常によく考えられています。たかが5°、されど5°です。私は身長が低いこともあり、シートはかなり前に出していますが、車種によってはナビの画面が見えづらいケースもあります。試乗車にはメーカーオプションの「全方位モニター付きメモリーナビゲーション(14万2560円)」が装着されていましたが、この設計により運転席はもちろん、助手席側からも地図も含めたディスプレイの情報は非常に見やすくなっています。

今回試乗したハイブリッドRSはすでにスズキの登録車に採用されている「マイルドハイブリッド」です。ISG、いわゆるモーター機能付き発電機を使うことで減速時などに助手席シート下のリチウムイオン電池や通常の鉛バッテリーなどへ充電、また電装品などへの電力供給など小型ながらなかなかの働き者です。

バッテリーの出力自体はマイルドハイブリッドの名の通り、決して大きくはありませんし、実際モーターで走っているような感覚はほとんどありません。ただ実際ISGが働くことでエンジンの負担を減らすなど“実利重視”で機能します。

燃費はJC08モードで27.4km/Lに対し、エアコンオンで高速も含めた試乗では22.4km/Lと十分な数値だと思います。

そして軽量化はこのクルマのハンドリングに大きく影響しています。前述したようにISGが加速に効く領域は多くはありません。しかし何よりもボディが軽い!これによる加速感は必要十分ですし、コーナリング時の接地感は見事。RS系は旧型同様に欧州仕込みのハンドリングが売りですが、最初少しだけロールさせつつリアタイヤをしっかり接地させスムーズにコーナーを駆け抜けます。

市街地では少し路面からの突き上げが大きいかなとも思いましたが、高速走行時にはこれがピシッといい方向に効いてきます。しいて言うならパワステはもう少し操舵力に重さが欲しい部分もあります。

先進安全装備も単眼カメラと赤外線レーザーを使った「デュアルセンサーブレーキサポート」が採用されています。こちらはまだまだ進化の余地はありますが「セーフティパッケージ(9万6120円:試乗車の場合)」としてメーカーオプション設定されています。それでも絶対に装着することをオススメします。

このクラスではここ数年、マツダ デミオが非常に高い評価を受けています。デミオはクリーンディーゼルを含めたクラスレスな高品質が魅力ですが、このスイフトはデミオに真っ向から勝負できるハンドリング&燃費性能を持っています。価格もデミオより少し安くなることもあり、強力なライバルとなることは間違いないでしょう。

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試乗

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自動車(本体) > BMW > 5シリーズ セダン 2017年モデル > 523d Luxury

森口将之さん

  • レビュー投稿数:228件
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プロフィールフリーランスジャーナリストの森口将之です。自動車を中心に、モビリティ全般を守備範囲としています。自動車については、ブランドやスペックにとらわれず、ユーザー目線でのレポートを心がけています。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務め、日本自動…続きを読む

エクステリア3
インテリア4
エンジン性能4
走行性能4
乗り心地4
燃費無評価
価格2
満足度4

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

ラグジュアリー仕様のアルミホイールは18インチ

ディーゼルであってもマフラーは左右2本出し

センターパネルを運転席側に傾けた伝統の造形

BMWとしてはしっとりした厚みを感じる前席

セダンとしてはかなり低めに座る後席

523dを名乗りながら排気量は2Lのディーゼル

第7世代となったBMW5シリーズのセダンに、横浜で行われた試乗会で乗りました。2L直列4気筒ガソリンターボエンジンを積む523i/530i、これにモーターを結合したプラグインハイブリッド車530e、同じ2L4気筒のディーゼルターボを搭載する523d、3L直列6気筒ターボの540iというラインナップの中から、523dラグジュアリーをドライブしました。

スタイリングは旧型と似ています。BMW伝統のキドニーグリルとヘッドライトがつながり、フードをすぐ上から開くようにしてパネルの継ぎ目をなくし、サイドのキャラクターラインが増えるなど、細部には違いはあるものの、クルマにくわしくない人は新旧の見分けがつかないかもしれません。

ちなみにボディサイズは長さ25o、幅10o、高さ10oと少しずつ拡大しており、ホイールベースは5oだけ伸びています。ただし重量はアルミニウムや高張力鋼板、マグネシウムを多用することで、523d同士で60kg減の1700kgとなり、グリル内部を開閉式にするなどしたことで空気抵抗を示すCd値は0.25から0.22に向上しているそうです。

インテリアデザインも近年のBMWスタイルを継承しています。その中で目についたのは台形の凹凸を付けた一部のスイッチで、ブラインドタッチしやすいものでした。ただしこの造形が採用されたのは一部で、運転席まわりにはさまざまな形状のスイッチが散在しています。かつてのBMWはこのあたりをきっちり作り込んでいただけに、もう少し整理してほしいと思いました。

前後とも低めに座るシートは、BMWとしては座面の厚みを感じる、快適なものでした。全長5m近いサイズを持つだけあって、後席は身長170pの自分ならゆったり過ごせますが、足を組めるほどではありません。トランク容量は530Lで、奥行の長さに圧倒されました。

ディーゼルエンジンは新世代になりましたが、アイドリングや低速走行ではディーゼルであることを意識する音を発生します。むしろ2000-3000rpmあたりまで回したほうがスムーズに感じます。40smを超える最大トルクを誇るだけあって、加速はいかなる場面でも強力であり、スロットル開度を抑えるエコプロモードにしても不満はありませんでした。

乗り心地はBMWとしてはしっとりしています。前述したシートのおかげもあるでしょう。BMWはこれまでパワーステアリングの設定が重めでしたが、新型5シリーズは低速ではかなり軽くなっています。切れ味は自然で、意図的に鋭く感じさせるような演出はありません。ただしノーズが向きを変えてからの身のこなしは、軽量化の恩恵を感じました。

コーナー出口で右足を踏み込むと旋回を強めながら立ち上がっていくスポーティなフィーリングはBMWそのものですが、新型はいままでよりも快適性を重視したように感じました。変化が控えめのデザインともども、大人っぽくなった印象です。

レビュー対象車
試乗

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自動車(本体) > メルセデスAMG > GLC クーペ AMG 2017年モデル > GLC43 4MATIC Coupe

松下宏さん

  • レビュー投稿数:512件
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プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む

エクステリア4
インテリア4
エンジン性能5
走行性能5
乗り心地4
燃費2
価格2
満足度3

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

メルセデスAMGでCクラス系の基本プラットホームをベースにしたSUVがGLC。そのGLCをベースにクーペ風の外観デザインを持つモデルに仕上げたのがGLCクーペである。このGLCクーペにもAMGモデルが設定されている。

メルセデス・ベンツ日本が千葉市で開催したメディア関係者向け試乗会に出席し、用意された広報車両に試乗した。試乗グレードはメルセデスAMG GLC43 4MATICクーペだ。

クーペ風デザインのSUVはBMWが6シリーズなどで展開しているが、メルセデス・ベンツもGLEクーペやGLCクーペなどでBMWを追従する形になっている。傾斜を強めたルーフラインによるクーペ風の外観デザインは、見るからにカッコ良さを感じさせるもので、GLCクーペの場合にはややずんぐりした印象もあるが、標準のGLCに比べると低めに抑えた全高などによってスタイリッシュなものとされている。

中央にスリー・ポインテッド・スターを配置し、太いメッキのバーを配置したフロントグリルは、いかにもSUVらしい力強さを表現したものとされている。インテリアも専用のステアリングホイールやペダル、メーターなどが装備されている。

搭載エンジンはV型6気筒3.0Lのツインターボ仕様で、ブルーダイレクトと呼ぶ直噴エンジンにふたつのターボを装着し、さまざまなAMGテクノロジーを盛り込んでいる。動力性能は270kW/520N・mを得ている。このエンジンは本格的なAMGエンジンとは違って、ワンマン・ワンエンジン方式で組み立てられるのではなく、量産ラインで生産されているのだが、それでもAMGの名にふさわしいだけの動力性能である。

GLC43 U乗り込んでスターターボタンを押すと、ブォンという空吹かしが入る。これはちょっと大きめの音で状況によってはちょっと恥ずかしくなるほどだ。アクセルを踏み込むと、豪快な排気音とともに強烈な加速が伸びていく。この排気音はAMGエグゾーストシステムによるもので、AMGモデルならではのサウンドである。

このエンジンはパワフルであると同時にフレキシブルなエンジンでもある。最高出力の270kWを発生する回転数は5500〜6000回転とかなり高めでやや高回転型のエンジンだが、それと同時に520N・mの最大トルクは2000〜4200回転で発生するからだ。2000回転という低い回転数で最大トルクに達し、それが4200回転まで持続するのだ。最高出力を使わなくても十分に早い加速が得られる。

Dレンジのままで走らせると、組み合わされる9Gトロニックが早めにシフトアップしていくが、その変速フィールは滑らかそのものだ。やや残念なのはシフトプログラムが欧州仕様のままであること。Dレンジで自動変速に任せていると時速100kmで走っても9速には入らない。時速80kmなら7速ギアを使って走っている。日本向けには専用のチューニングを施し、より低い速度域で最も燃費の良いギアを使えるようにして欲しいものだ。

足回りは専用のスポーツサスペンションによって硬めの乗り味を感じさせる。動力性能に対応した足回りともいえる。

本格的なAMGモデルとはひと味違うのがGLC43 4MATICクーペだが、エンジン時代は十分にパワフルなものであり、ラインで量産することでコストダウンも図れるので、AMGモデルとしては手の届きやすい価格が設定されている。といっても本体価格は910万円で、オプションや諸費用を含めたら1000万円コースの価格帯だから、簡単に買えるクルマではないのも確かである。


レビュー対象車
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自動車(本体) > ダイハツ > トール 2016年モデル

松下宏さん

  • レビュー投稿数:512件
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プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む

エクステリア3
インテリア3
エンジン性能2
走行性能2
乗り心地3
燃費2
価格2
満足度2

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

ソリオが独占していたコンパクトクラスのハイトワゴンの市場に遅まきながら参入したのがダイハツ・トールだ。このモデルはトヨタのタンク/ルーミー、スバル・ジャスティと合わせて4姉妹車の構成となる。

トールには、江東区青海のメガウェブをベースにダイハツとトヨタが合同で開催したメディア関係者向け試乗会に出席し、用意された広報車両に試乗した。トール/タンク/ルーミーは、それぞれ2種類の外観デザインを持つほか、搭載エンジンも自然吸気仕様とターボ仕様の2種類が設定されているが、3車種合わせていろいろな仕様に試乗した。

ソリオは、5ナンバー枠を使い切らない抑制された全幅のコンパクトカーであると同時に、ハイトワゴンとして高めの全高を持つクルマである。このパッケージングはソリオ独特のものであったが、トールのボディサイズはソリオとほぼ同じであり、ソリオの後追いモデルであるのは間違いない。ダイハツでは、必ずしもソリオを意識して開発したわけではないとしているが、完全に意識している。

ボディサイズの数値差が大きいのは全幅で、ソリオが1625mmにとどまるのに対し、トールは1670mmと45mmも広い。これは、今後側面衝突への要件が厳しくなっていくことを考えたら、当然の対応といえる。それ以外の全長、全高、ホイールベースなどは誤差の範囲内いえるくらいの差しかない。

外観デザインはトールだけでなく、タンク/ルーミーやジャスティも含めてそれぞれ標準系とカスタム系の2種類が設定されている。ただ4車種×2種類の8つの顔を持つわけではなく、大きく分けて4種類の顔のうちふたつずつを4車種が使う形である。

標準系とカスタム系と書いたが、軽自動車ではあっさりした標準に対して迫力満点のカスタム系という関係が作られているのに対し、トールではどちらも大きなグリルを持ち、小さく見えないようなデザインとしている。

インテリアは標準系にはオレンジのアクセント色が配色され、カスタム系にはブルーがアクセントとされるなど、やはり微妙に異なる2種類のデザインが採用されている。全体としてはコンパクトカーらしいシンプルなデザインだ。

室内空間は十分な広さがある。横方向はともかく後席に座っても前後方向はたっぷりした広さだ。軽自動車などで培ったパッケージング技術が生かされている。また後席への乗降を助けるアシストグリップが大人用と子供用という感じで用意されるなど、細かな配慮も特徴だ。

搭載エンジンは直列3気筒1.0Lで、自然吸気仕様とターボ仕様がある。自然吸気仕様エンジンの動力性能は51kW/92N・mで、軽自動車のターボ仕様エンジン程度の実力である。

1.0Lの自然吸気エンジンとしては平均レベルのものだが、トールは全高が高いハイトワゴンであるため車両重量が重くて1070kg〜1080kgもある。このため特に良く走るという印象ではない。必要な程度の動力性能と考えたら良いだろう。自然吸気エンジンを搭載した軽自動車を考えたら、排気量が大きくなる分だけトルクに余裕があるが、それはあくまでも軽自動車との比較においてという感じである。

自然吸気仕様のトールを走らせようとすると、エンジンに力がないのでアクセルを踏み込みがちになり、エンジン音が高まってうるさくなる。タウンユース中心の走りなら、それほどアクセルを踏まなくても良いが、高速道路の合流車線など、ちょっと加速が欲しいようなシーンではけっこううるさい。当然ながらこうした走り方だと燃費も悪くなる。

JC08モード燃費は一応、2020年燃費基準を達成しているものの、最も燃費の良いモデルで24.6km/Lにとどまっている。ソリオは1.2Lの排気量でこれを上回る数値を得ているだけでなく、マイルドハイブリッドやハイブリッドなど、さらに燃費の良いモデルを設定している。

トールは周回遅れになって登場してきたソリオの後追いモデルでありながら、燃費でも負けているのでは話にならない。もうひと頑張りもふた頑張りも必要である。

足回りは柔らかめの味付けで、シャシー性能には物足りなさを感じた。乗り心地を重視したために柔らかめの足回りとしているのだが、カーブを曲がるときなどは大きくロールして不安感を与える。アイポイントが高めな分だけロール感も大きくでるためだ。

街乗り中心で乗るユーザー向けのセッティングとは言うものの、軽自動車では採用した後輪のスタビライザーを登録車(自然吸気エンジン搭載車)でやめてしまうのは納得しがたい。スズキの軽自動車に対しては、ダイハツが前後スタビライザーを採用しているのだからスズキも採用せよとさんざん迫ったのに、これではスズキに対して迫った私の立場がなくなるというものだ。

なお、ターボ仕様エンジンの走りについてはタンクの項で紹介するので、そちらを参照して欲しい。ルーミーの項では、安全装備などまた別のことを書いているのでこちらも参照して欲しい。

トールはともかく、タンクとルーミーはそれぞれトヨタの2チャンネルで販売するので、ジャスティも含めた4姉妹車としてはソリオを圧倒する売れ行きになるだろう。でもクルマとしての魅力はソリオに及ばない。

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自動車(本体) > トヨタ > ルーミー 2016年モデル

松下宏さん

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プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む

エクステリア3
インテリア3
エンジン性能2
走行性能2
乗り心地3
燃費2
価格2
満足度2

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

トヨタのルーミータンクはダイハツのトールと姉妹車を構成する車種で、トヨタではトヨタ店とカローラ店で販売されている。トヨペット店とネッツ店で販売されるタンクも姉妹車であるほか、スバル・ジャスティを含めて4姉妹車の構成である。

各車種とも顔つきなどが異なるものの、基本メカニズムの部分はすべて共通であり、同じクルマと考えていい。

ルーミーには、江東区青海のメガウェブをベースにダイハツとトヨタが合同で開催したメディア関係者向け試乗会に出席し、用意された広報車両に試乗した。トール/タンク/ルーミーは、それぞれ2種類の外観デザインを持つほか、搭載エンジンも自然吸気仕様とターボ仕様の2種類が設定されている。3車種合わせていろいろな仕様に試乗した。

ルーミーは基本的にソリオの後追いモデルである。ソリオが軽自動車から登録車に上級移行するユーザーの受け皿としてまずまず好調な売れ行きをキープしていることから、ダイハツとトヨタがソリオの市場に参入するとともに、スバルも巻き込んで4姉妹車としたものだ。

ボディサイズは、ソリオが3710mm×1625mm×1745mmでホイールベースが2480mmという設定なのに対し、ルーミーは3710(3715)mm×1670mm×1735mmでホイールベースが2490mmという設定である。全幅だけはルーミーがちょっと広めだが、それ以外は同じか10mm程度の違いしかない。“ソリオをマネしたクルマ”と言われても仕方がない。そもそも志が低いクルマと言わざるを得ない。

開発に当たっては、商品企画から開発・生産に至るまで基本的にダイハツ主体で進められたという。トヨタも商品企画やコンセプトワークなどに一定程度に参画したものの、主体はダイハツだ。これはブーン/パッソなどでも同様の手法が採用されている。トヨタがあまり口出しするよりもダイハツに任せたほうが良いという判断のようだ。

ただ、ルーミーの開発に当たっては、ダイハツもトヨタの意向に十分に配慮しており、商品企画から価格政策(設定)などの部分にはトヨタの考えが反映されている。そのためにダイハツが低コスト化などの部分で頑張り過ぎた面があるようだ。

それが具体的に表れたのは自然吸気エンジンの搭載車でリヤスタビライザー省略されていることだ。最近のダイハツは軽自動車でも前後(4WDのリヤはなし)にスタビライザーを装着するのを基本としているが、登録車のルーミー(トール)ではそれを省いてしまった。

リヤスタビライザー省略は装着していれば良いというものではないが、装着していないクルマは操縦安定性が劣る傾向にあるのは間違いない。安くすることを目的にするのではなく、良いクルマを作ることを目的にするなら、装着するのが当然ではないか。

ダイハツはムーヴでボディ骨格からシャシー回りに新しいアイデアを取り入れ、軽自動車の水準を超えた操縦安定性を実現している。なのに登録車のルーミーが同等の操縦安定性を確保できていないのは一体どうしたことか。

ボディ作りにはムーヴで培ったノウハウが生かされたとはいえ、ルーミーの標準車の車両重量は1070kgもある。ソリオのガソリン車は930kgにとどまるから140kgも重いのだ。前述のようにボディサイズはほぼ同じなのに、これだけ重量に違いがある。

それが燃費にもつながって、ソリオは最も燃費の悪いガソリン車でも24.8km/Lを達成しているのに、ルーミーは24.6km/L(ターボ車は21.8km/L)にとどまっている。ソリオには、さらに燃費の良いマイルドハイブリッド車(27.8km/L)やハイブリッド車(32.0km/L)もあるのだから話にならない。ルーミーは後出しジャンケンなのに完全に負けている。

安全装備は先進緊急ブレーキとしてダイハツの“スマアシU”が採用されている。これは赤外線レーザーと単眼カメラを組み合わせたもので、比較的低速域で作動するだけのものだ。カメラが付いているので人間を認識することができるが警報を発するだけでブレーキをかけて停止するわけではない。

ダイハツ車ではルーミー(トール)が発売されたのと同じ2016年11月に、タントにデュアルカメラ方式の“スマアシV”が採用されている。こちらは時速80kmくらいまで作動するなど作動領域が広くなる上に人間に対しても制動をかけるタイプだ。だったらルーミーにもこのタイプを装着したら良かったのではないかと思う。

先進緊急ブレーキは、クルマなどの障害物に対して作動するだけではダメで、人間に対して作動して事故を防ぐタイプでないといけない。タウンユース中心に使うクルマなら、よけいに人間と関係することが多くなるから人間を見分けるタイプであることが望まれる。

なお、ダイハツ製のクルマであるため、トヨタで販売するタンク/ルーミーにもトヨタセーフティセンスCではなく、ダイハツの“スマアシU”が採用されている。まあトヨタセーフティセンスCも赤外線と単眼カメラなので、性能的にはほぼ同程度である。

ついでに書いておくと、スバルのジャスティも同様で、アイサイトではなく“スマアシU”が採用されている。アイサイトなら数段高い性能を持つのに、ダイハツ製のクルマなのでアイサイトは装着できないのだ。

いずれにしてもルーミーは、基本コンセプトから走り、安全装備に至るまで、さまざまな面で物足りなさが残る。もっと良いクルマを望みたい。

レビュー対象車
試乗

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自動車(本体) > ホンダ > NSX 2017年モデル

松下宏さん

  • レビュー投稿数:512件
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プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む

エクステリア4
インテリア4
エンジン性能5
走行性能5
乗り心地4
燃費2
価格1
満足度3

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

ホンダNSXが初代モデルを大きく上回る高性能を備えたスーパースポーツとして復活した。今回のNSXはアメリカで生産される。開発作業は日米両方で進められたが、ホンダがLPLと呼ぶ開発責任者はアメリカ人である。

NSXには、ホンダが神戸市や御殿場市で繰り返し開催したメディア関係者向け試乗会に出席し、用意された広報車両に試乗した。NSXは単一グレードのモデルである。

外観デザインは、やや古典的な印象を受けるが、ともいえるなイメージもあるが、見るからにスーパースポーツらしい低全高のワイドボディを採用する。個人的にはこうしたデザインはけっこう好きなのだが、それだけに注文を付けたい部分もいくつかあった。LEDのヘッドライトは今では当たり前になりつつあり、先進性を表現するひとつの要素でもある。しかしながらそのLEDライトを採用する割にフロント回りのデザイン処理は何とも普通に過ぎる印象だ。

もうひとつ気になったのはドアノブだ。今にも折れそうな感じの細いレバーを立ち上げて、それを引っ張る方式を採用する。方式はGT-Rとも似ているが、GT-R以上に折れそうな感覚が強い。アメリカではノブが自動的に立ち上がる方式らしいが、日本ではそれが認められなかった。

コクピット回りの雰囲気は全体としてはスーパースポーツらしいものとされているのだが、細部を見ると随所に作り込みの甘さが気になる部分があった。スイッチ類のデザインや操作部分の節度感など、これが2000万円超の高級車なのかと思わせる部分があった。

低全高のスポーツカーの割には乗降性は比較的良かった。もちろん肥満体型の老人である私は乗り降りするのにそれなりに苦労させられたが、一般的なスーパースポーツやロータスの各モデルなどに比べたら乗降性はずっと良い。

搭載されるパワートレーンは、V型6気筒3.5Lのツインターボ仕様DOHCエンジンに、フロント2個、リヤに1個の電気モーターが組み合わされ、SH-AWDと呼ぶハイブリッドシステムを構成する。

エンジンの動力性能は373kW/6000〜7500rpm、550N・m/2000〜6000rpmという実力である。373kWという数値はパワーに置き換えると507psになる。これだけで自然吸気なら5.0L超のエンジンに相当する。

フロントに2基搭載されるモーターはそれぞれが27kW/73N・mの実力を持ち、リヤのモーターは35kW/148N・mの実力である。エンジンとモーターを合わせトータルで発生できる動力性能は427kW/546N・mに達するという。これに9速DCTのトランスミッションが組み合わされている。

エンジンを始動するとブォンとい空吹かしが入る。ちょっと気恥ずかしくなるほど音だが、これはクワイアットモードを選択することで抑えることができる。

発進から最初に市街地を走る間はクワイアットモードで走ったが、高速道路ではスポーツモード、ワインディングではスポーツ+の走行モードを試した。さすがにサーキット用のトラックモードを試すことはしなかったが、スポーツモードの段階で相当な実力を発揮する。

加速の凄さという点では、テスラモデルSのP85Dが圧倒的な実力を持つので、NSXもさすがにそれには及ばないが、システムとして発生する427kW(581ps)は圧倒的なもの。スポーツモードやスポーツ+モードでアクセルを踏み込めば、背中をシートに押しつけられるような猛烈な加速が得られる。

車両重量は1780kgで比較的軽く作られていることもあって、加速の伸びは素晴らしく、あっという間に超高速域に達する。0-100加速は正式には公表されていないが、3秒フラット程度であるらしい。公道では発揮することができないような実力である。

NSXの走りの特徴は速さよりも小気味の良いハンドリング性能にあると言っていい。これは左右のフロントモーター自在に制御してトルクベクタリング効果を発生するSH-AWDの性能によるものだ。ワインディングなどでSH-AWDの性能をいかんなく発揮され、タイトなコーナーでもグイグイ向きを変えていく。この気持ち良さはほかのクルマでは体験することのできない新しいスポーツカーの走りである。

ちなみにSH-AWDはコーナリングだけでなく、制動時にモーターによる回生を行ったり、加速時には全輪で加速させるなど、走行状態と走行モードによってさまざまな働きをしている。

前述の4種類のモードは、インテグレーテッド・ダイナミクス・システムによるもので、エンジンやモーターの出力を始め、9速DCTの変速制御、ステアリング、ブレーキ、サスペンション、エンジンサウンドに至るまで、走りの要素のすべてが統合制御され、異なる4つの車両特性を実現する。

強烈な加速を楽しんだり、ワインディングでのコーナリング性能を楽しんだりするのはもちろんのこと、一般道を普通に走らせていてもストレスがなく楽しいと感じられるのがNSXの特徴でもある。スポーツカーとしてのパフォーマンスを考えたら、GT-Rのほうが数段上にあると思うが、幅広い条件で楽しめるという点ではNSXのほうが上だと思う。

日本の自動車メーカーからこうしたスーパースポーツが誕生したことは素直に喜んでおきたい。

惜しむらくは価格だ。2300万円を超える価格は性能に見合ったものと言っても良いが、普通のユーザーには完全に手の届かないクルマになってしまった。実際に購入するときにはさらに200万〜300万円のオプション装着も必要である。

初代NSXは、若いユーザーに「中古車になって安くなれば、いつかは買えるかも」と思わせる部分があったが、新型NSXにはそうした望みも持てない。

もうひとつは安全装備だ。ホンダセンシングの設定がない。全高の低いスポーツカーでは、先進緊急ブレーキ用のセンサーを設定するのが難しいなどの技術的な問題があるのは理解できるが、今どきのこの価格帯のクルマとして先進緊急ブレーキを備えないのは考えられない。


レビュー対象車
試乗

参考になった12

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自動車(本体) > トヨタ > タンク 2016年モデル

松下宏さん

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プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む

エクステリア3
インテリア3
エンジン性能2
走行性能2
乗り心地3
燃費2
価格2
満足度2

※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。

タンクはダイハツのトールと姉妹車を構成するクルマで、トヨタではトヨペット店とネッツ店を通じて販売される。ほかにルーミーという車種があってこちらはトヨタ店とカローラ店で販売されている。トール、タンク、ルーミーにスバルのジャスティも加え、4車種は基本的に同じクルマである。

タンクには、江東区青海のメガウェブをベースにダイハツとトヨタが合同で開催したメディア関係者向け試乗会に出席し、用意された広報車両に試乗した。トール/タンク/ルーミーは、それぞれ2種類の外観デザインを持つほか、搭載エンジンも自然吸気仕様とターボ仕様の2種類が設定されている。3車種合わせていろいろな仕様に試乗した。

ジャスティを含めた4車種それぞれに標準系とカスタム系があって、顔つきが違うものの、顔の種類は全部で4種類だけで、それをある車種では標準系、ある車種ではカスタム系としているだけだ。

トールの項に書いたように、この4姉妹車はスズキ・ソリオの後追いモデルとして投入されたものだ。ソリオは先にフルモデルチェンジを受けて2代目モデルになっているから、後追いモデルといっても周回遅れのような形で投入されたことになる。

5ナンバー枠を使い切らない狭い全幅のナローボディと、タワーパーキングに入らないような高めの全高を持つ。このパッケージングは正にソリオと同じである。開発に当たってはソリオを意識しなかったというが、そんなことはないだろう。

ナローボディの全幅は、ソリオが1625mmにとどまるのに対し、タンクはやや広くて1670mmとなる。5ナンバー枠は1700mmまで使えるのに、それを使い切らない点ではソリオと共通だ。今後採用される側面衝突の安全基準への対応や、トレッドの拡大による操縦安定性の向上などを考えたら、全幅は無理に狭くしないで5ナンバー枠をいっぱいに使ったら良いのにと思う。

室内空間は十分な広さがある。横方向はともかく後席に座っても前後方向はたっぷりした広さだ。軽自動車などで培ったパッケージング技術が生かされている。また後席への乗降を助けるアシストグリップが大人用と子供用という感じで用意されるなど、細かな配慮も特徴だ。

軽自動車のハイトワゴンに比べたら、登録車のタンクでは後席に乗員を乗せる機会が多いという前提での配慮だろう。

搭載エンジンは直列3気筒1.0Lで、自然吸気仕様とターボ仕様がある。トールで自然吸気仕様エンジン搭載車の走りについて書いたので、タンクではターボ仕様車について書きたい。

動力性能は72kW/140N・mで、自然吸気エンジンの51kW/92N・mに比べるとグンと余裕がある。トルクについては自然吸気なら1.4Lエンジン並みの実力である。ただし、動力性能が向上するのに合わせて燃費が悪化してJC08モード燃費は21.8km/Lにとどまる。

ターボ車の走りは自然吸気エンジン車に比べればずっと良く。自然吸気エンジンではボディに負けているような感じもあるが、ターボならそんな不満は感じない。ある程度気持ち良く走らせようと思ったら、これくらいの動力性能は必要だろう。室内騒音はターボ車もけっこううるさい。しょせんはコンパクトクラスのクルマということなのだろう。

足回りもターボ車については後輪側にもスタビライザーが装着される。タイヤは共通だが、スタビライザーの装着によってややロールが抑えられ、操縦安定性はいくぶん好ましい方向に向かっている。

それでも、ブーン/パッソの基本プラットホームをベースに、それよりも200mmも高い全高のクルマを作っているから、操縦安定性に優れたクルマというわけではない。

動力性能と足回りの両方でもう少し走りの質感を高めて欲しいと思った。

またターボ車は自然吸気エンジンの搭載車に比べて12万円強高くなる。燃費が悪くなることも含めて考えると、経済性ではさらに不利になる。このように考えると、この4姉妹車でターボ仕様車を選ぶのが良いかどうかは疑問。街乗り中心で使うなら自然吸気エンジンの搭載車で良いし、高速道路を使って距離を走る機会が多いユーザーはほかの車種を選んだほうが良い。

なお、トールの項では自然吸気エンジンの搭載車の走りについて書いたほか、ルーミーの項では安全装備などについて書いているので、そちらも参照して欲しい。

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